北朝鮮が中国に石炭密輸の疑い、何が問題?
2022年6月30日の日本経済新聞朝刊1面に「北朝鮮石炭、対中密輸疑い」という記事がありました。石炭を積んだ北朝鮮籍船をとらえた人工衛星画像を入手し、翌日以降の航跡を調べ中国の港に直航したことを確認しました。何が問題なのでしょうか。

ここが気になる
国連安全保障理事会は2017年に北朝鮮制裁を強化し、加盟国に北朝鮮産石炭の輸入を禁じました。しかし、北朝鮮と深い関わりを持つ約180隻の船の動きを追ったところ、1年半で少なくとも50隻以上が中国の石炭を取り扱う港に寄港していました。軍事資金を断つための制裁が機能していない実態が明らかになりました。
北朝鮮船の密輸と疑われる寄港について在日中国大使館は「管轄外なので把握していない」と回答しました。安保理決議は加盟国への強制力に乏しく、中国の不正を立証するのは困難です。北朝鮮の石炭取引を止めるには疑惑が濃厚な船舶を安保理の制裁対象に加え、中国を含む加盟国の港に入れなくすることが重要です。
しかし、制裁違反と判断した船を安保理に報告しても、北朝鮮への制裁に消極的な常任理事国の中国・ロシアが認めないケースが多くなっています。実際、制裁対象船舶のリストは18年以降更新されていません。ミサイル発射の頻度を高める北朝鮮。開発資金の獲得を防ぐ手段が、より一層重要になっています。

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この記事をまとめた人:横山龍太郎
2016年入社。大阪で医薬品や自動車関連、造船企業の取材を経て、現在は電子版と紙面の編集を担当。沖縄の港にクルーズ船が接岸し、20年2月以来の寄港となりました。この2年間は旅行を控えてきましたが、徐々に経済再開の動きも広がるなか、今年はクルーズ旅行を検討しようと思います。
2016年入社。大阪で医薬品や自動車関連、造船企業の取材を経て、現在は電子版と紙面の編集を担当。沖縄の港にクルーズ船が接岸し、20年2月以来の寄港となりました。この2年間は旅行を控えてきましたが、徐々に経済再開の動きも広がるなか、今年はクルーズ旅行を検討しようと思います。

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