温暖化ガスの排出量取引価格が高騰、日本にどう影響?

ここが気になる
国の排出量の削減目標に基づき、政府が企業に排出量の上限を割り当てて「排出枠」を売買することを排出量取引といいます。排出量が上限を超える企業は余裕のある他の企業から排出枠を買う必要があるため、そのコストを避けようと削減に努めることが期待されます。結果として、国全体の排出量の減少を促す仕組みになっています。
欧州連合(EU)は昨年12月、排出量を2030年時点で1990年比55%減まで減らす方針を定めました。目標が厳しくなった分、企業が排出を許される量が減り、排出枠を買いたい企業が増えています。また、価格上昇による利益を狙う投資家の取引も活発になっており、取引価格が昨年末より約3割高い水準で推移しています。
日本でEUと同様の取引制度を導入した場合、企業には約2.6兆円の負担が生じるとの試算があります。導入しない場合も影響がありそうです。EUは温暖化対策が不十分な国からの輸入品に価格を上乗せする「国境炭素税」を23年までに採用するとしており、同等の負担が必要になる可能性があるためです。今のうちに脱炭素に向けた技術革新を前倒しして進められるかがカギを握りそうです。

- 【炭素の価格付けの背景や仕組みをイラストで説明】
2018年入社。外食企業の取材を経て、現在は電子版と紙面の編集を担当。三陽商会が海洋ゴミのペットボトルを再利用したスニーカーを発売しました。地球に優しく、デザインもかわいいので是非買いたいと思ったのですが、1万4300円というお値段を見て考え込んでしまいました。

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