温暖化ガスの排出量取引価格が高騰、日本にどう影響? - 日本経済新聞
/

温暖化ガスの排出量取引価格が高騰、日本にどう影響?

2021年3月26日の日本経済新聞朝刊1面に「排出量取引、価格高騰」という記事がありました。企業の温暖化ガス排出量に上限を設け、その過不足分を取引する際の価格が欧州で高騰しています。日本にはどのような影響が及ぶのでしょうか。

ここが気になる

国の排出量の削減目標に基づき、政府が企業に排出量の上限を割り当てて「排出枠」を売買することを排出量取引といいます。排出量が上限を超える企業は余裕のある他の企業から排出枠を買う必要があるため、そのコストを避けようと削減に努めることが期待されます。結果として、国全体の排出量の減少を促す仕組みになっています。

欧州連合(EU)は昨年12月、排出量を2030年時点で1990年比55%減まで減らす方針を定めました。目標が厳しくなった分、企業が排出を許される量が減り、排出枠を買いたい企業が増えています。また、価格上昇による利益を狙う投資家の取引も活発になっており、取引価格が昨年末より約3割高い水準で推移しています。

日本でEUと同様の取引制度を導入した場合、企業には約2.6兆円の負担が生じるとの試算があります。導入しない場合も影響がありそうです。EUは温暖化対策が不十分な国からの輸入品に価格を上乗せする「国境炭素税」を23年までに採用するとしており、同等の負担が必要になる可能性があるためです。今のうちに脱炭素に向けた技術革新を前倒しして進められるかがカギを握りそうです。

    【炭素の価格付けの背景や仕組みをイラストで説明】
    【日本はWTOに国境炭素税のルール作りを呼びかけ】
若手編集者が同世代にむけて新聞の読みどころを発信する「朝刊1面を読もう/Morning Briefing」は平日朝に公開します。週末は1週間のニュースを振り返る動画を配信しています。
この記事をまとめた人:亀井亜莉紗
2018年入社。外食企業の取材を経て、現在は電子版と紙面の編集を担当。三陽商会が海洋ゴミのペットボトルを再利用したスニーカーを発売しました。地球に優しく、デザインもかわいいので是非買いたいと思ったのですが、1万4300円というお値段を見て考え込んでしまいました。

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

朝刊1面を読もう

日本経済新聞が最も大切にしている「朝刊1面」を中心に、経済ニュースをわかりやすくお届けします。

なぜこのニュースが大切なのか、インパクトはどこまで及ぶのか。
学生、若手社会人向けにニュースの背景を読み解くポイントをお伝えします。


動画で解説 日経電子版活用法

経営コンサルタントの小宮一慶氏が電子版活用法を動画で解説。より深くニュースを読み解くヒントが満載です。
>>日経電子版 活用動画

関連企業・業界

企業:

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン

権限不足のため、フォローできません