感染第7波とウィズコロナ 福井健策さんらとThink! - 日本経済新聞
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感染第7波とウィズコロナ 福井健策さんらとThink!

日経電子版「Think!」は、各界のエキスパートが注目ニュースにひとこと解説を投稿する機能です。7月15~22日の記事では、骨董通り法律事務所代表パートナーで弁護士の福井健策さんが「コロナ感染第7波」を読み解きました。このほか「ハウステンボス売却」「JALが3000人配転」といったテーマの記事に投稿が寄せられました。振り返ってみましょう。(投稿の引用部分はエキスパートの原文のままです)

「コロナ感染第7波」をThink!

新型コロナ、濃厚接触者の待機を2日間短縮 政府方針(7月22日)
政府は新型コロナウイルスの感染者と一定の接触があった「濃厚接触者」について、自宅などでの待機を2日間短縮する方針を固めた。

福井健策さんの投稿】重要な動きですが、肝心な、陽性者(特に無症状者)の隔離期間への言及がありませんね。現在、発熱者がひとり出て、感染症法2類相当に従って周囲の人々が検査を受けると必ず数名以上、主に無症状の陽性者が出ます。それが7日~10日隔離を余儀なくされると、飲食業、イベント・エンタメ活動などは成立しません。真面目な/めだつ事業者ほどその直撃を受けており、現在Twitterでは3日連続で「公演中止」がトレンド入り、あらゆるイベントが中止され続けています。一方、18万人以上が感染しつつ、重症者は0.1%の180名台。専門家会合も2類相当の見直しを提言する中、ウィズコロナのあり方は本気で問われていると感じます。

「ハウステンボス売却」をThink!

HIS、ハウステンボスを売却へ 旅行需要低迷で(7月21日)
エイチ・アイ・エス(HIS)が傘下のテーマパーク「ハウステンボス」(長崎県佐世保市)を売却する方向で調整していることが分かった。

小宮一慶さんの投稿】HISは2021年10月決算で自己資本比率が9.9%まで下がり、記事にあるように22年4月中間期でさらに大幅な損失が出たために、自己資本比率が5%台にまで落ち込んでいた。旅行需要低迷とともに、電力小売業でも大きな損失が続いたことも業績に大きく影響した。今年4月の中間期でも1千億円を超える手元流動性(現預金)を確保していたが、有利子負債も2千億円以上あり、自己資本の拡充と手元流動性の確保が喫緊の課題だったのでハウステンボスの売却に踏み切ったものと考えられる。テーマパーク事業は、4月中間期にはわずかだが黒字に転換していたので虎の子を売却したともいえる。

「JALが3000人配転」をThink!

JALが3000人配転、LCCなどに ビジネス需要低迷長期化(7月19日【イブニングスクープ】)
日本航空(JAL)は従業員約3000人を主力航空事業から格安航空会社(LCC)やマイル事業などの非航空分野に配置転換する。

鈴木智子さんの投稿】職務内容を明確に定義して雇用契約を結ぶジョブ型雇用に注目が集まっていますが、その時の環境要因や状況に応じて社員の再配置を行って事業構造の転換を進めるやり方は、日本型経営の強みを活かせる人的資源管理の方法なのかもしれません。どのような雇用システムにせよ、大事なのは、急激に変化する世の中でいかに環境に適応する組織を整え、また働く人々のモチベーションを高くするかということなのではないでしょうか。引き続き航空・旅行業界の人材活用の取り組みとその結果に注目していきたいです。

日銀大規模緩和の維持」をThink!

日銀、大規模緩和の維持決定 物価見通しは2.3%に(7月21日)
日銀は20~21日の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策の維持を決めた。4月会合で1.9%としていた2022年度の消費者物価上昇率(生鮮食品を除く)の見通しは2.3%に引き上げた。

白井さゆりさんの投稿】経済成長とインフレの見通しは予想どおり2022年度は経済成長は下方修正、インフレは上方修正になった。インフレ率は2023年度は1.4%、2024年度は1.3%と前回より上方修正されているのは、4月会合以降のウクライナ危機をめぐる情勢を反映したものとみられる。また黒田総裁がこれまで説明してきているように、需要や賃金上昇による好循環をベースにしたインフレではなく、一時的なサプライサイドによるインフレであるとの見方を維持している。ウクライナ情勢とロシアによるガス供給政策などでよほどのサプライズがなければこのインフレ見通しはおおむね正しいとみられる。基本的には今後も現状の政策を維持するのではないか。

「百貨店はオワコンか」をThink!

百貨店はオワコンか そごう・西武売却にみるしぶとさ(7月19日)
セブン&アイ・ホールディングスのホームページの沿革の記載で最近、奇妙な動きがあった。筆頭に記載されていた羊華堂(イトーヨーカ堂の前身、1920年創業)に代わり、15日には、筆頭にそごう(現そごう・西武)の創業(1830年)が刻まれたのだった。

風早隆弘さんの投稿】百貨店がオワコンなのかはさておき、消費者にとって百貨店と呼べるものの重要性が長期的に低下していることは数字からみてとることができます。実際に、コア小売販売額における百貨店の市場シェアは、2000年の9.0%から19年に5.5%、21年で4.1%と、過去20年余りで半減しました。一方で、業態を議論することが難しくなっていることも確かです。百貨店の語源は、百の品物を扱う店とも言われていますが、それだけをみれば、Amazon、ショッピングモールなど、競争相手が増えています。業界を代表する企業の変化対応力の結果が、業態の将来を決めるとすれば、業態論以上に個別企業の取組みがより重要な視点になりそうです。

「NYの家賃高騰」をThink!

NY中心部の平均家賃、初の5000ドル台 年40%上昇も(7月21日)
米ニューヨーク市の中心部マンハッタンで、賃貸物件の家賃が高騰している。米国の民間調査によると、6月の平均家賃は初めて5000ドル(約70万円)台に乗せた。1年で40%上がった物件もある。

今村卓さんの投稿】在宅勤務から出勤への回帰が家賃上昇の主因だと思います。オフィス入退室データを集計する企業KASTLEの調査では、ニューヨークの先週の出勤率は40%強、ロックダウンが実施された21年前半の10%台から相当上昇しました。マンハッタンの非常に高い人口密度、地価や建設コスト、金利の上昇からみて賃貸物件の開発、供給はなかなか増えないでしょう。出勤率はコロナ禍直前の95%近くには戻らないとしても、まだまだ上昇余地があります。負担可能の上限まで人口の都心部回帰と家賃上昇が進む可能性が高いと思います。

平日のニュースに投稿がつく「Think!」。これまでの投稿一覧と、エキスパートのみなさんのご紹介は次のページから。

【投稿一覧】
https://r.nikkei.com/topics/topic_expert_EVP00000
【エキスパート紹介】
https://www.nikkei.com/think-all-experts

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