バイデン大統領が日韓初訪問 中林美恵子さんらとThink!

日経電子版「Think!」は、各界のエキスパートが注目ニュースにひとこと解説を投稿する機能です。5月13~20日の記事では、早稲田大学教授の中林美恵子さんが「バイデン米大統領の日韓初訪問」を読み解きました。このほか「Netflix 人員削減」「沖縄復帰50年」といったテーマの記事に投稿が寄せられました。振り返ってみましょう。(投稿の引用部分はエキスパートの原文のままです)
「バイデン米大統領、日韓初訪問」をThink!


【中林美恵子さんの投稿】マンスフィールド元院内総務には生前、議事堂にあるマンスフィールド・ルームでお会いした。気さくで謙虚、そして党派を超えて尊敬されていた。バイデン氏がマンスフィールド氏から受けた薫陶を今も大切にしているのは、大統領が日米首脳会談の度に「マンスフィールド・フェロー」に言及していたことからも推察できる。マンスフィールド財団で働く人々も、マンスフィールド氏の謙虚さと温かさをもっている。氏への敬意と憧憬がそうさせるのだろう。日米関係をメインに据えた米国生まれの財団や研究所は滅多にない。マンスフィールド・スピリットの継承を願うと同時に、日本人や日本企業からの貢献が、もう少しあって良さそうだと感じる。
「Netflix 人員削減」をThink!


【野崎浩成さんの投稿】Netflixing(動画観ていて忙しい)など動詞や形容詞として使われてきた、時代の寵児的存在でしたが、曲がり角ですね。いかなる先進的発想を持った企業も栄枯盛衰、人員削減は明らかなピークアウトのメッセージだと思います。関係ない話題ですが、グローバル・トップ・デジタルバンクに輝いたシンガポールDBSが、目指すべき姿としてGANDALF(Google, Amazon, Netflix, DBS, Apple, LinkedIn, Facebook) を戦略として据えています。早晩、このベンチマークも、変える時が来るかもしれません。
「沖縄復帰50年」をThink!


【大湾秀雄さんの投稿】一橋大学の神林教授らの研究によると、戦争で郷土部隊の死亡比率が高く、戦後の勤労世代の男性比率が低かった県ほど、経済発展が遅れた。沖縄の戦争直後の男女比率は、3:7であった。加えて、基地と観光と政府の公共投資に依存した経済発展は、労働集約的な産業構造をもたらし、人的資本の蓄積を遅らせた。経済の高度化を目指すなら、インフラ投資に頼るのではなく、貧困を撲滅し、IT人材グローバル人材を育成のための人的資本投資に注力すべきだ。海外や県外からも学びに来るほど、学校教育、奨学金制度を充実させてはどうか。優秀な人材が豊富に採用できるのであれば、誘致しなくとも企業は集まってくる。
「新しい資本主義」をThink!


【竹川美奈子さんの投稿】制度の利用を促すには「シンプル」にすることが一番です。一般NISAに代わり、24年から2階建てとなる新NISAは制度が複雑すぎます。例えば、資産形成を促すのが目的なら、つみたてNISAに1本化して制度を恒久化すればよいのではないでしょうか。年間拠出額の引き上げより、安心して長期投資ができるよう恒久化を優先してほしいです。制度の拡充は大事ですが、既存制度の利便性を高めることも必要。例えば、iDeCo(個人型確定拠出年金)は申し込みから口座開設まで2カ月程度かかり、変更手続きに「紙」の書類を郵送するものも多く、手間も時間もかかりすぎます。オンライン化を進めていますが、スピード感が必要です。
「ロシア経済と侵攻の代償」をThink!


【諸富徹さんの投稿】これも、戦争の一形態だ。ロシアから撤退した企業は「参戦」しているのだ。その売上を放棄するのは高い代償だが、暴力によるウクライナ支配を許せば、その後、どんな世界が現出するのか。企業は活動の自由を失い、資源供給で意のままに操られる。ロシアの意図を挫くことは、自らの活動の自由を獲得することに直結する。各国の市民も返り血(インフレ)を浴びながら、この闘いを支持するだろう。ロシアにどう対峙するかで、ドイツの最大州で与党の社民党が大敗し、同じ与党の緑の党が劇的に票を伸ばしたのは、大いなる教訓だ。かつてNATO脱退を叫んだ緑の党はいまや、自由と民主主義を守るために、ロシアにもっとも強硬な政党に変貌したのだ。
「男女の賃金差、開示義務化」をThink!

【武田佳奈さんの投稿】男女の賃金差を開示させることを通じて期待することは、なぜ女性の賃金が男性と比べて低いのかについての本質的な検討が進むこと、例えば、賃金格差の背景にある勤続年数や就いている役職の男女間の差が必要以上に生まれないようにするために、何が求められ、できるのかといった具体的な検討と改善が進むことだと思います。数字の高低だけで判断せず、本質的な検討と対策をどのように行っているかまで見て、企業の姿勢を評価していくことが我々に求められていると思います。この手の取組は効果が出るまでに時間がかかるのでプロセスも評価されるべきだと思います。
【投稿一覧】
https://r.nikkei.com/topics/topic_expert_EVP00000
【エキスパート紹介】
https://www.nikkei.com/think-all-experts

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