米欧金融機関に激震 野崎浩成さんらとThink! - 日本経済新聞
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米欧金融機関に激震 野崎浩成さんらとThink!

日経電子版「Think!」は、各界のエキスパートが注目ニュースにひとこと解説を投稿する機能です。3月10〜17日の記事では、東洋大学国際学部教授の野崎浩成さんが「クレディ・スイス、中銀から資金調達へ」を読み解きました。このほか「米シリコンバレー銀行破綻」「子供を持たない理由」といったテーマの記事に投稿が寄せられました。振り返ってみましょう。(投稿の引用部分はエキスパートの原文のままです)

「クレディ・スイス、中銀から資金調達へ」をThink!

クレディ・スイス、中銀から最大7兆円調達へ(3月16日)
スイスの金融大手クレディ・スイス・グループは16日、スイス国立銀行(中央銀行)の資金供給策を使って最大500億スイスフラン(約7兆1000億円)を調達する用意があると発表した。「先制して流動性を強化するため断固たる行動を取る」と強調した。

野崎浩成さんの投稿】巨額の資金取り入れに驚く方も多いと思います。ただ、資金繰り上で「足らず米」を調達するというよりは、中央銀行のコミットメントの深さを市場とメディアに印象付ける金額かと考えています。流動性支援による市場安定化は、マクロプルーデンス(システム全体の健全性維持)を預かる中銀としては必要かつ果断な動きだとは評価しています。しかし、資金を供給すればするほど、経営破たんを容認できなくなり、TBTF(Too-Big-To-Fail、大きすぎて潰せない)の呪縛から逃れられなくなると思います。

「米シリコンバレー銀行破綻」をThink!

シリコンバレー銀行なぜ破綻 テック金融の要、不安連鎖(3月11日)
米テクノロジー企業への融資で知られ、米西海岸シリコンバレーのエコシステムの中核を担ってきたシリコンバレーバンク(SVB)が10日、経営破綻し、米連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に入った。

白井さゆりさんの投稿】今回のシリコンバレー銀行の経営破綻は、典型的なbank runが発生しその預金流出に対応するために価格が下落している債券を売却しなければならなかったことに起因する。通常の銀行は預金者に個人顧客も多くシリコンバレー銀行ほどの問題はおきにくい。ただ逃げ足の速い預金をもとでに債券に投資する構造では金利リスクが大きく、急速な利上げで評価損やキャピタルロスに直面することは銀行全体に言える。リーマンショック以降の規制強化で国債、政府関係債、中銀当座預金、格付けの高い社債にシフトしているが、中銀預金が多ければより安心できる。ただFEDの量的引き締めで当座預金が減っていることには注視する必要があるかもしれない。

「子供を持たない理由」をThink!

子供持たない理由 女性はキャリア、男性はお金に不安(3月16日)
子供を持たない人が増えていることについて、日本経済新聞社が読者アンケートを実施したところ、3400人の回答を得た。そこからは男女の考え方の違いや子供を持つことの負担感の女性への偏りが見えた。

三宅宏実さんの投稿】「キャリア女性は結婚や出産によるキャリアの中断が不安」に共感しました。私自身、競技が一区切りした今、これからの人生設計をどう構築していくか。様々な事に挑戦してみたい気持ちや自分自身にまだ時間を費やしたい欲張りな気持ちもあります。しかし、出産においては時期が限られています。アンケート結果をみても、女性側が負担を大きく感じていることが読み取れますが、パートナーの理解や家族の支え、自分らしく働ける社会や多様な家族の在り方、近年少しづつ変化しているようにも感じています。次の世代にも安心して引き継げるポジティブな環境作りが、少しずつ整っていくよう願います。

「日韓シャトル外交再開」をThink!

日韓シャトル外交再開、経済安保対話を新設へ 首脳会談(3月16日)
岸田文雄首相は16日、首相官邸で韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と会談した。首脳間の相互訪問の枠組み「シャトル外交」の再開で一致した。首相は会談後の共同記者会見で韓国政府による元徴用工問題の解決策を評価した。

深川由起子さんの投稿】つるべ落としのように、「国交正常化以降で最悪」となった日韓関係。関係者が膨大な努力を重ねた結果、つるべは井戸の底で砕ける寸前に止まりました。しかし、そもそもは「植民地支配が不法」という判断から出発している点につるべの重みがあり、今後とも様々な角度からの圧力が働きます。グローバルサウスの発言権が拡大する時代、国際司法の判断に移行正義の潮流が及ぶ可能性は大きいでしょう。国際世論への情報戦でも今回の敗北色は気がかりです。韓国の政局に大騒ぎするよりも、地道に相互理解と対話を促進し、同時に日本の主張を世界に発信する努力がなければ、つるべは上がりません。引き上げはこれからが始まり、となるでしょう。

「マスク着用『個人の判断』」をThink!

マスク着用、13日から「個人の判断」 何が変わる?(3月12日)
新型コロナウイルスの感染対策として長く定着してきたマスク着用のあり方が大きく変わる。13日から屋内外を問わず個人の判断に委ねられる。「脱マスク」が進めば、社会・経済活動の正常化の象徴となる。気になる点を3つのポイントでまとめた。

詫摩佳代さんの投稿】マスクの公衆衛生上の有用性を否定する余地はなく、明日以降も体調が悪い時や花粉対策に適宜、マスクを活用しようと思います。他方、自分の意図や判断に反してマスク着用を促され、渋々着用する場面が今まで多々ありましたので、それがなくなるのかと思うと、パンデミック後の社会に向けた大きな一歩だと思います。マスク着用の有無が個人の意思に委ねられるというのは、民主主義社会ではいわば当然のことで、当然の状態に戻るだけなのですが、それが大きな一歩と感じられる状況からは、改めてパンデミックが社会に与えたインパクトの大きさを認識せざるをえません。今後も、順調にパンデミック後の社会に移行していくことを願います。

「ガーシー氏の除名決定」をThink!

ガーシー氏の除名決定、議員資格失う 参院で懲罰案可決(3月15日)
参院は15日の本会議で政治家女子48党のガーシー氏に「除名」の懲罰を科す案を可決した。尾辻秀久議長が除名を宣告し、ガーシー氏は議員の身分を失った。同氏は2022年7月の参院選で当選して以来、国会に欠席し続けていた。

中北浩爾さんの投稿】参議院はこの間、議長が国会への出席を求めたり、懲罰委員会で「陳謝」を科したりと丁寧な手続きを重ねてきました。有権者の投票によって選ばれた重みがあるとはいえ、今回の「除名」は憲法と国会法に則る措置であり、当然だと思います。しばしば欠席しているのに歳費が支払われている点が問題視されますが、問題の本質は正当な理由なくして欠席していることであり、国権の最高機関たる国会のメンバーとして相応しくなく、「院内の秩序をみだした」(憲法58条)ということでしょう。有権者も、「選良」として相応しい人物を国会議員に選ぶことが必要です。特にNHK党に投票した有権者には、考えてもらいたいですね。

ニュースに投稿がつく「Think!」。これまでの投稿一覧と、エキスパートのみなさんのご紹介は次のページから。

【投稿一覧】
https://r.nikkei.com/topics/topic_expert_EVP00000
【エキスパート紹介】
https://www.nikkei.com/think-all-experts

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