中国軍関与の国際先端研究473件、何が狙い?
2022年6月16日の日本経済新聞朝刊1面に「中国軍関与、先端研究473件」という記事がありました。世界最大規模の論文データベースを解析したところ、中国の人民解放軍関係者が日米欧の研究者に接近している実態がわかってきました。中国軍の狙いは何なのでしょうか。

ここが気になる
オーストラリア政府が公表する「機微技術リスト」を対象に計8500万件超の文献データを精査したところ、中国軍の関連組織が海外の研究者と共同執筆した論文は約4万5千件もありました。その中で軍事転用リスクが高い機微技術をテーマにした論文は過去5年で473件にのぼります。極超音速にまつわる共著論文が188件と最多でした。
一例として西安科技大や豪ニューサウスウェールズ大などが2020年に発表した極超音速機のレーダー送信に関する論文があげられます。この論文ではめざす場所に寸分の狂いなく飛行体を導く技術を論じていますが、スペースシャトルなど大気圏に突入する宇宙船といった民生技術にはレーダーによる誘導は必ずしも必要とはされません。
研究には中国国有の軍需企業2社が加わっており、大学から参加した准教授は中国空軍の訓練機関と類似する共同研究も手がけていました。また日本で活動していた中国人研究者が、帰国後に無人航空機の軍事研究に関与していた可能性も浮上しています。アカデミアの世界に伸びる中国の食指。日本も無関係ではいられません。

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この記事をまとめた人:神戸優平
2017年入社。現在は電子版と紙面の編集を担当。フリーズドライの納豆をパウダー状に加工したペット用のふりかけが販売されているそうです。味にうるさいわが家の猫にも買ってあげようかと思います。
2017年入社。現在は電子版と紙面の編集を担当。フリーズドライの納豆をパウダー状に加工したペット用のふりかけが販売されているそうです。味にうるさいわが家の猫にも買ってあげようかと思います。

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