「男は仕事、女は家庭」 ウスビ・サコさんらとThink! - 日本経済新聞
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「男は仕事、女は家庭」 ウスビ・サコさんらとThink!

日経電子版「Think!」は、各界のエキスパートが注目ニュースにひとこと解説を投稿する機能です。12月2~9日の記事では、京都精華大学全学研究機構長のウスビ・サコさんが「『男は仕事、女は家庭』だと給付減」を読み解きました。このほか「米ジョージア州上院決選投票」「人手不足のニセコ」といったテーマの記事に投稿が寄せられました。振り返ってみましょう。(投稿の引用部分はエキスパートの原文のままです)

「『男は仕事、女は家庭』だと給付減」をThink!

「男は仕事、女は家庭」だと給付減 ドイツの少子化対策(12月8日)
出生率の回復には、男女とも柔軟な働き方ができる環境作りが不可欠――。20世紀後半、出生率低下にあえいだ先進国は試行錯誤を経てこの解を導き出した。「男=仕事、女=家庭」とみなす伝統が根強いドイツも、夫婦がライフステージに応じて柔軟な働き方を選べる仕組みが出生率回復をもたらした。

ウスビ・サコさんの投稿】出生率回復には、ドイツの例にあるように、仕事や社会全体の仕組みや価値観を変更する必要がある。日本でも、働き方改革等、様々な対策がなされているが、抜本的な仕組みの変化につながっていない。制度づくりは大分進んでいるが、慣習的な仕事の個人の関わり方や仕組みは変わらないままが大問題である。例えば、育児休暇をとる場合、多くの人が心配するのは休みの間に誰が「自分の仕事」を担当するのか、他の人に迷惑をかけるのではないか。ここでいう、「自分の仕事」の調整という価値観、仕事は個人に張り付く習慣などの同調圧力を変えることが重要である。出生率の回復には、社会の働き方の価値観を抜本的に変化することが求められる。

「米ジョージア州上院の決選投票」をThink!

米ジョージア州上院の決選投票、民主候補が勝利(12月7日)
米南部ジョージア州の上院選の決選投票が6日に投開票された。米主要メディアによると、与党・民主党現職のラファエル・ウォーノック氏が当選を確実にした。トランプ前大統領が推薦した野党・共和党新人のハーシェル・ウォーカー氏を破り、上院で多数派を固めた民主が過半数となる51議席目を確保した。

池上彰さんの投稿】ジョージア州の上院選では、共和党候補は妊娠中絶反対を主張しながら、過去に女性の中絶費用を払っていた疑惑が持ち上がっていました。一方、民主党候補は、そのスキャンダルを利用することなく正攻法で選挙を戦っていました。そもそも候補者の質に違いがあったのです。そんな候補を推薦したのかという点でトランプ前大統領への批判は共和党内で高まるでしょう。ニューヨーク州の地裁でトランプ氏一族の企業に対して有罪評決も出ましたし、トランプ氏への逆風が強まっています。

「人手不足のニセコ『満室は諦めた』」をThink!

人手不足のニセコ「満室は諦めた」 稼働率抑えて冬営業(12月5日)
国際的なスノーリゾートのニセコ(北海道倶知安町や北海道ニセコ町)が深刻な人手不足に陥っている。一部の宿泊施設は限られた人員でクオリティーを保つため、満室経営を諦める事業者も出てきた。

滝沢美帆さんの投稿】サービス産業では在庫を持つことが出来ないため、サービスを生産した瞬間に消費される必要がある。こうした事情から、稼働率が生産性に直結することが、森川正之一橋大学教授の研究などでも指摘されている。記事によれば、稼働率を5割程度まで落とす事業者もあるという。北海道の有効求人倍率は、リーマンショック後(0.4弱)から徐々に上昇し、コロナ禍であっても1をやや切る程度と、求人が求職より多い状態が続いていた。需要を調整するためにサービスの価格を上げる、供給力を確保するために労働者の賃金を上げるといった需給の調整方策を検討することは、日本経済の喫緊の課題であるサービス産業の生産性改善にとっても重要だろう。

「コロナ対策、自治体3割ばらまき」をThink!

コロナ対策、自治体3割ばらまき 全住民に現金・商品券(12月7日)
国が新型コロナウイルス対策で自治体に拠出した「地方創生臨時交付金」がばらまきに消えている。日本経済新聞が使途を調べると、3割の市区町村が年齢・所得制限を設けず、現金や商品券を一律に配る計画を立てていた。

吉田徹さんの投稿】短期間で巨額なおカネが自治体に降ってきても、せいぜい給付先を絞って現金を配る、ということ以上の対応は確かに難しいだろう。ただ、おカネを配っても消費が支えられるとも限らず、経済的効果は限定的だ。コロナ禍での困難は解雇や所得減などを除けば、児童の学習機会損失や高齢者の社会的紐帯の崩壊など、主に対人サービスの関る側面だったはずだ。子どもの自殺増や高齢者の認知症などが具体的な問題として起きた。日本の社会保障は、そもそも現金支給に偏重しており、サービス給付の量が少ない。もっと個人に寄り添うことのできるような知恵を出せるかどうか、自治体間の競争に期待したい。そのためにも、この種の過去の政策検証は貴重だ。

「出生急減、22年80万人割れへ」をThink!

出生急減、22年80万人割れへ 人口1億人未満早まる恐れ(12月2日)
日本の出生数が急減している。2022年の出生数は初めて80万人を下回る公算が大きい。少子化が進むと年金や医療など現役世代が支える社会保障制度が揺らぐ。労働投入も減り経済の成長力が下がる。子どもを産み育てやすい環境整備が急務だ。

中空麻奈さんの投稿】ソブリンリスクの格付けを付ける際、大事なポイントの一つが人口である。人口が多いことが潜在的な成長力に直結する、からだ。22年の出生数は80万人を割り、このままでは1億人を維持できなくなる、という。"成長と分配の好循環"をどれだけ整えても、中長期的な人口問題を解決できずにいけば、じり貧は目に見えている。子育てし易い環境整備、子供手当等の充実もよいが、出生数をあげるのにお金を配ればいい、という安易な発想だけでは、人口減は止められない。もう時間切れかもしれないが、移民も真剣に考えるべきだし、一方で、人口減を視野に入れた制度や都市整備のコンパクト化も着実に行うべきである。

「サッカー日本、W杯8強逃す」をThink!

サッカー日本、W杯8強逃す PK戦でクロアチアに敗れる(12月6日)
サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会第16日は5日、ドーハ近郊アルワクラのアルジャヌーブ競技場などで決勝トーナメント1回戦が行われ、世界ランキング24位の日本は目標に掲げた初の8強入りを逃して敗退した。同12位で前回準優勝のクロアチアに、延長を終えて1-1からのPK戦で1-3で屈した。

村井満さんの投稿】クロアチア代表チームの愛称は「ヴァトレニ」。クロアチア語で「炎の男」。日本代表とW杯初出場同士で対戦した98年のフランス大会では一躍3位に躍進し、まさに炎のチームだった。ドキュメンタリー映画『ヴァトレニ クロアチアの炎』では旧ユーゴからの独立戦争を国民とともに闘う姿として描かれた。ジョホールバルの歓喜に沸く日本とは対照的でもあった。しかし今大会、ヴァトレニと日本代表は紛争や初出場といった外側の問題とは別の形でその本質であるサッカーのステージの高さを示したように思う。向き合う姿勢や技術・戦術も決して遜色は無かった。PKの結果は次世代に向けたサッカーの神様の激励のメッセージとして受け止めたい。

平日のニュースに投稿がつく「Think!」。これまでの投稿一覧と、エキスパートのみなさんのご紹介は次のページから。

【投稿一覧】
https://r.nikkei.com/topics/topic_expert_EVP00000
【エキスパート紹介】
https://www.nikkei.com/think-all-experts

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