学校端末の学習データ、どのように活用?

ここが気になる
新型コロナウイルスの感染拡大もあり「1人1台端末」の整備が進み、21年度までに公立の小中学生約900万人に行き渡りました。端末では閲覧状況やテスト結果といった学習データが生み出されていますが、大半の学校は生かしきれていません。取り扱いについて国の規定がなく、教育委員会や学校は法令への抵触を不安視して活用に消極的でした。
学習データの活用によって、教員や保護者は児童生徒それぞれの得意分野やつまずきやすい問題の把握が容易になり、授業や家庭学習の参考になります。個人のデータが蓄積されることで過去の学習状況が分かり、進級・進学で教員が代わっても指導に生かせます。多数の端末から集めたビッグデータの分析から得られた課題を教育政策へ反映させることも可能になります。
欧米では教育分野でもEBPM(証拠に基づく政策立案)が進みます。英国はデータを政府機関のシステムに集約し、学校ごとに改善を求めます。米国でも学習データの分析結果を学校運営に生かす試みが広がります。一方、日本は授業で端末を「ほぼ毎日使う」と回答した小学校は58%にとどまるなど端末利用すら順調ではありません。文科省は個人情報にも配慮しつつ、900万人の学習データの活用を進めていきます。

2016年入社。大阪で自動車関連や医薬品、造船企業の取材を経て、現在は電子版と紙面の編集を担当。サッカーW杯をきっかけに観戦するようになった海外リーグ。三笘薫選手所属のブライトンの試合は欠かさず見ています。

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