春秋(3月31日)
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常磐線を降りると、淡いピンクのトンネルに目を奪われた。福島県富岡町の夜(よ)の森地区、東北屈指の桜並木だ。花見の子供がはしゃぎ、老夫婦は静かに仰ぎ見ていた。復興拠点として立ち入り規制が徐々に緩和されてきたこの地区はあす、避難指示が全面的に解かれる。
▼街を歩けば、原発事故までの暮らしの匂いをまといながら朽ちた建物が野ざらしになっている。美容室のガラスは砕け、食器が散乱したままの家屋もある。一方で...
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東日本大震災から12年となった被災地。インフラ整備や原発、防災、そして地域に生きる人々の現在とこれからをテーマにした記事をお届けします。