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[社説]日米で自由な経済けん引を

日米両政府は29日、米ワシントンで外務・経済閣僚による「経済版2プラス2」の初会合を開き、半導体などの先端技術開発やサプライチェーン(供給網)強化で幅広く協力することで一致した。

希少な物資や資源を握る中国やロシアが、その優位性を乱用する例が目立つ。日米でルールに基づく国際秩序をけん引して不当な威圧を防ぎ、安定した生活の土台となる自由な経済活動を守りたい。

新たな枠組みの正式名称は「日米経済政策協議委員会」で、今年1月に日米首脳が創設を決めた。両国には外務・防衛閣僚の協議体(2プラス2)があり、その経済版という位置づけだ。

日本から林芳正外相と萩生田光一経済産業相、米国からブリンケン国務長官とレモンド商務長官が参加して協議を行い、成果を共同声明と行動計画にまとめた。

注力したのは半導体分野だ。生産が台湾に集中し、有事には幅広い産業に打撃が及ぶ。先端技術の有無が経済力や国力を左右する戦略物資でもあり、日米は安定供給や技術開発の協力で一致した。日本側は研究開発の組織を新設し、友好国も巻き込んだ国際共同研究の拠点にすると表明した。

中国に依存するレアアース(希土類)や蓄電池の分野でも、供給断絶に備えて財政面も含めて協力する。次世代通信網の安全な技術開発でも協力を進める。

いずれも重要な課題だが、民間への過度な介入が市場をゆがめては本末転倒だ。限られる財源にどうメリハリを付けて効果を上げるかも含め知恵が求められる。

多くの国々が、中国と経済面で強く結びついた現実も直視する必要がある。闇雲に供給網を分断すれば経済が混乱しかねない。

日米は兵器や人権を侵害する監視に使われうる技術について効果的な輸出管理の方法をさぐり、基準を擦り合わせるという。

そうした成果を有志国とも共有できれば有用だ。経済安全保障と自由な貿易・経済活動の両立に、新たな協議体を役立てたい。

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