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[社説]変調の兆し見える巨大IT企業の成長力

米巨大IT(情報技術)企業の4~6月期決算が出そろった。「GAFAM」と呼ばれる大手5社合計の四半期売上高は前年同期比7%増と、米中の景気が同時に足踏みしていた2016年半ば以来の低成長だった。

新型コロナウイルス禍でパソコン、オンラインサービス、ネット通販などの利用が広がった「特需」からの反動という特殊要因が大きいが、中長期的な成長力に変調の兆しもみえる。

2~3割成長は当たり前だった米IT大手に対する成長期待が曲がり角を迎えていると投資家は認識すべきだろう。

行動制限が世界各地で解除された今年は人々がオフィスや実店舗に戻るなど、特需がはげ落ちた。中国の都市封鎖による部品供給の混乱でアップルの増収率は2%未満にとどまった。

さらに、特需でかさ上げされた前年同期との比較になるため各社とも業績の伸び率は低かった。

成長を減速させているのは特殊要因だけではない。

個人の興味や消費行動に合わせた「標的型広告」で収入を得るSNS(交流サイト)の減速が目立つ。端末や閲覧ソフトのプライバシー保護が強化され、効果の高い標的型広告の配信が難しくなった。そんななか、景気減速で企業が広告出稿先の選別を強め、一部がSNSを離れた。

その結果、SNS最大手フェイスブックを運営するメタの4~6月期は12年の上場以来初の減収となった。同社は従来、景気に関係なく2~6割の高成長を続けてきたが、その段階は過ぎ去った。

ネット広告市場は全体で高成長が続く普及期が終わり、今後は優勝劣敗が進みそうだ。

ネット通販市場も、コロナ禍で高齢者や途上国まで利用が広がり成熟しつつある。アマゾン・ドット・コムは1997年の上場以来初めて3四半期続けて1ケタ増収にとどまった。同社は、ほぼ毎年2割以上の成長を維持してきたが、今年は2割をかなり下回る公算が大きい。

各社とも成熟する主軸事業の次の成長源の育成に力を入れる。アップルはサービス、アマゾンとアルファベットはクラウド基盤が育っている。それでも従来並みの高成長を続けるのは難しいだろう。

一方、低成長から脱却できない日本企業は米ITの成長重視経営から多くを学んでほしい。

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