[社説]巨大IT企業の独占で試される米司法 - 日本経済新聞
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[社説]巨大IT企業の独占で試される米司法

米グーグルのインターネット広告事業が反トラスト法(独占禁止法)に抵触しているとして、米司法省が当該広告事業の分離分割などを求めて提訴した。裁判次第では巨大IT(情報技術)企業による独占的な市場支配の弊害軽減に道が開ける可能性がある。米司法の問題解決力が試される。

提訴の対象はウェブサイトやモバイルアプリに広告を配信する同社の広告仲介サービスだ。2021年の売上高の12%を占めた。企業や商店が広告を出したいサイト、アプリの種類や地理的な場所、予算上限などの条件を登録しておくと、条件に合う広告スペースに自動的に広告を配信する。

この事業は広告主向けサービスと広告媒体向けサービス、広告スペースの買い手と売り手を競売でマッチングする「取引所」サービスの3つの部分から成る。本来別々の業種だがグーグルは3つとも手掛け、支配的シェアを握る。

司法省は、同社が過去15年にわたってそれぞれの分野で買収や排他的契約などによって独占状態を作り上げ、不当に高い手数料収入を得てきたと主張した。グーグルは真っ向から争う構えだ。

司法省にとってこの裁判は難路になる。ネット広告市場全体では米メタ、米アマゾン・ドット・コムなども大きなシェアを持っている。その他の一般のサイトとアプリ向けの広告仲介で高いシェアを持っているだけで「独占」と認定される保証は全くない。

仮に独占と認められても、消費者が末端商品価格の値上がりなどの直接不利益を被らない限り、違法とはしない法解釈が1980年代から米司法に定着している。

そんななかあえて、司法省が一定の抑止効果も期待できる裁判を起こしたことは真摯な挑戦と評価できる。40年来の判例法を軌道修正できれば巨大ITの市場支配の問題是正に道が開ける。

だがその可能性が大きいと考える専門家は少ない。21世紀初頭に米マイクロソフトの分割案を退けたように、市場への介入を避けたがる姿勢は米司法に染みついている。司法は時間がかかり過ぎ、現在の産業構造の問題解決には適さないという問題もある。

欧州連合(EU)は既存法制に基づく行政や司法の限界を悟り、「デジタル市場法」の立法で巨大IT企業への規制を強化した。米議会にも党派対立を超えた立法の取り組みが期待される。

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