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[社説]極右勝利のイタリアはEUと結束保て

欧州連合(EU)で第3の経済国イタリアに、第2次世界大戦後で初めて極右政党が率いる政権が誕生する見通しだ。地元メディアによると、25日の総選挙で極右「イタリアの同胞(FDI)」が第1党を獲得、右派連合が上下両院で議席の過半を制する勢いだ。

極右や右派にはEUとの連携や対ロシア制裁に批判的な意見も多く、ウクライナ侵攻を非難する西側の結束が弱まる懸念がある。主要7カ国(G7)の一角であるイタリアの次期政権が内外の環境の厳しさを自覚し、EUとの結束を堅持することを強く求めたい。

総選挙は多党連立政権内の造反によるドラギ首相の辞任表明で前倒しされた。45歳のメローニ党首が率いるFDIはドラギ氏の連立政権に主要政党で唯一加わらず、野党として物価高などによる国民の政権不信の受け皿となった。

極右の「同盟」、ベルルスコーニ元首相の中道右派「フォルツァ・イタリア」などと両院を制し、右派政権ができれば、メローニ氏が同国初の女性首相となりうる。

その際に心配する点が3つある。ひとつはロシアとの関係だ。

ドラギ氏はドイツ、フランスなどEU各国とウクライナへの軍事支援やロシア制裁で緊密な連携を貫いてきた。だが右派連合の「同盟」はロシア制裁の効果を疑問視し、ベルルスコーニ氏はロシアのプーチン大統領と親しい。

FDIは対ロ制裁を維持するというが、エネルギー確保の思惑などで対ロ姿勢が軟化しかねない。ロシアの揺さぶりを防ぐためにもEUとの結束が欠かせない。

第2に経済や財政への信認の低下だ。メローニ氏は子ども手当の増額など大衆迎合的な公約を掲げ、支持を集めた。だが、バラマキ型の対策は国内総生産(GDP)の150%に達する政府債務をさらに拡大させ、イタリア国債に対する投資家の不安を募らせる。

欧州中央銀行(ECB)はインフレ退治へ金融引き締めを急ぐ。イタリアの混乱は後退懸念が強まるユーロ圏景気への打撃となる。

第3に欧州全体への波及だ。フランスやスウェーデンの選挙でも極右勢力が伸長した。EU内ではハンガリーなど統合深化に批判的な勢力がある。イタリアの政権交代は新たな混乱の火種となる。

イタリアは多額のEU復興基金を得ている。自国優先に走りすぎれば自身の首を絞めかねない。その点をはっきりと認識すべきだ。

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