[社説]戦車供与を停戦につなげたい - 日本経済新聞
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[社説]戦車供与を停戦につなげたい

この決断が停戦につながることを期待したい。

ドイツのショルツ首相が主力戦車「レオパルト2」をウクライナに供与することを決めた。同戦車を保有する欧州各国が提供することも認める。これにより約100両が順次、戦場に投入される見通しという。

ドイツは対ウクライナ支援で自国が突出することや第2次世界大戦の反省から戦車供与に慎重な立場だった。だが、米国が主力戦車「エイブラムス」31両の提供を表明したことで決断した。

時間がかかったとの指摘はあるが、関係国との調整や協議の成果だ。同盟国の揺るぎない団結と連携を歓迎する。

ドイツの決定により西側のウクライナ軍事支援のレベルは一段階上がる。

北大西洋条約機構(NATO)は戦争がエスカレートするのを防ぐため、これまで戦車など攻撃兵器の提供を控えてきた。しかし、ロシア軍が大規模攻撃を準備しているとの情報もあり、新たな対応を求められていた。

NATOは停戦に向けた戦略として、ウクライナに譲歩を迫るより、ロシアの侵攻を失敗させる方向に大きく軸足を移したといえる。戦車は侵攻を撃退するだけでなく、占領地の奪還に不可欠だ。

心配なのは戦闘が制御できない事態に発展することだ。ロシアはNATO陣営に通常兵器で対抗できる能力はない。追い詰められたプーチン大統領が核兵器を使用する危うさがちらつく。

しかし、核による脅しが有効だという前例をつくれば、世界の将来に禍根を残す。

戦闘は長期化が避けられない見通しだ。ロシア軍の侵略を撃退しながらも、事態が極端にエスカレートしないよう見極めることが重要だ。そのために対話のルートは維持し、独裁者が暴走することを防がねばならない。

ロシアの多くの指導者や軍幹部は核使用がどのような結果をもたらすか理解しているはずだ。

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