[社説]採用ミスマッチ減らす一歩に - 日本経済新聞
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[社説]採用ミスマッチ減らす一歩に

政府は大学生の新卒採用に関するルールについて、専門性の高い人材の採用日程を弾力的に見直す検討を始めた。通年採用の拡大などとともに、採用のミスマッチを減らす改革の一歩にすべきだ。

現行ルールは3月に広報活動、6月に採用選考を解禁している。政府が定めて企業に順守を求めているが、選考解禁の前に内定を持つ学生は半数以上に上り、すでに形骸化している。とくに理系人材の採用では外資系企業が先行し、早期化が進む。見直しは実態の後追いと言える。

新たなルールは関係省庁が経済界や大学と協議し、2023年中に内容を詰める。人工知能(AI)などに習熟した人材を想定し、26年春に入社する学生から対象にする見通しだ。

内閣府の調査によると、採用日程にはルールが必要だと答えた学生は約7割に上る。就職活動の予定を組む目安となっており、全廃すれば混乱を招く可能性がある。学業に支障を来さないためにも大幅な前倒しは避けるべきだろう。丁寧な議論を求めたい。

高いスキルを持つ学生を後押しする政府の考えは理解できるが、日程の弾力化で企業の獲得競争に拍車がかかれば、採用のミスマッチが増えかねない。そうならないようにする工夫が必要だ。

例えば、職務を明確に定めるジョブ型採用や長期インターンシップ(就業体験)を条件にしてはどうか。これらを導入する企業は増えつつあり、学生側、企業側とも適性を判断する一助になる。

そもそも短期間に集中する一括採用方式では学生の能力を見極めるのは難しい。今回の見直しを機に、通年採用の拡大など複線化を進めるべきだ。

大学側も産業界との連携をさらに進めてほしい。米国の大学ではカリキュラムの一環として有給で就業体験をさせる「コーオプ教育」が普及している。日本の学生は進路を考える時期が遅いとされ、職業観を早く固めることもミスマッチを減らすことにつながる。

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