春秋(3月29日)
[有料会員限定]
渋沢栄一は若いころ、スエズ運河の開削工事を目撃したという。パリ万博に向かう幕府の使節に随行し、鉄道でスエズの地峡を通るときに世紀の大事業を知ったのである。いま話題の実業界の巨人と、コンテナ船座礁で世界の耳目を集める交通路とが重なり合うわけだ。
▼渋沢がスエズを横断したのは1867年である。民間資金を使った斬新なプロジェクトを見た青年は資本主義と公益に思いを致し、その運河は2年後に完成して人の移動...
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。
残り366文字