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[社説]山際氏更迭で政策の遅滞は許されない

辞任は遅きに失したと言わざるをえない。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関わりが次々に判明した山際大志郎経済財政・再生相が事実上更迭された。

山際氏が様々な追及への説明責任をきちんと果たせない以上、岸田文雄首相はもっと早く決断すべきだった。国会中に重要閣僚が交代する事態を招いた責任は重い。影響を最小限にとどめ、経済政策をはじめ、重要課題への取り組みを加速してもらいたい。

首相は記者団に「任命責任を感じているからこそ、今後の(国会での)審議、職責をしっかりと果たしたい」と述べた。昨年10月の岸田政権の発足後、不祥事などで閣僚が辞任するのは初めて。山際氏の後任には、後藤茂之前厚生労働相を起用した。

山際氏は初入閣で経財相に就任し、政権の看板政策「新しい資本主義」の制度設計や新型コロナウイルス対策などを担当してきた。今年8月の内閣改造でも首相の肝煎りで留任した経緯がある。

今国会で山際氏は旧統一教会との接点を問われ、「記憶がない」「記録がない」と繰り返した。その後も外部から新たな指摘を受けるたびに、後追いで事実を確認する対応を繰り返した。野党などの質問に不誠実な印象を与え、不信感を増幅した面がある。

政府は近く物価高への対応を中心とする総合経済対策を決定する方針だ。年末の予算編成や税制改正に向けた成長戦略の具体化も重要な局面を迎える。山際氏はその取りまとめ役だった。政策の遅滞は許されない。

旧統一教会との接点が最も批判された閣僚が辞めたからといって、自民党は教団側との関係調査の手を緩めてはならない。教団の友好団体が国政選挙で候補者に「政策協定」のような推薦確認書を示し、署名を求めていた事実も明らかになっている。

自民党は社会的問題がある団体の活動を助長するような行動を「厳に慎む」と明記したガバナンスコード(統治指針)を25日に決定した。地方組織を含めてどう実効性を持たせるかが問われる。

政府は教団側の活動実態の把握と、強引な寄付防止や被害者の救済などを並行して進める必要がある。文化庁は25日、宗教法人法上の「質問権」行使の基準づくりを始めた。信教の自由に配慮しながら問題行動をどう是正していくか、冷静に議論を深めたい。

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