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[社説]国産初の飲み薬を第8波対策に生かせ

塩野義製薬が開発した新型コロナウイルスの飲み薬が来月から使えるようになる。厚生労働省が緊急承認した。感染拡大の「第8波」や今冬懸念されるインフルエンザとの同時流行への対策としてうまく生かすべきだ。

国産初のコロナ向け抗ウイルス薬「ゾコーバ」は軽症や中等症の患者に対し、1日1回、5日間続けて経口投与する。服用後にウイルス量が減り、発熱や喉の痛み、せきなど5症状を軽くする。

国内ではコロナの飲み薬としてすでに米社製2種類が治療に使える。ただ、持病や肥満といった重症化リスクの高い人に限定され、医療現場での使い勝手は必ずしもよくない。

ゾコーバは錠剤タイプの飲み薬で、12歳以上なら重症化リスクやワクチン接種の有無を問わない。医師の判断で比較的広範に処方できる。劇的な効果ではないので、自宅での療養が基本であることに変わりはないが、症状の重い人の不安軽減につながるだろう。

政府はまず100万人分を買い取り、一部の医療機関に無料で配る。ただ、これでは感染者数に比べて供給量が少なく、第8波が本格化すれば品不足に陥る懸念もある。コロナ患者を診る発熱外来ならどこでも処方できるようにすべきだ。塩野義は生産・供給の拡充に万全を期してもらいたい。

ゾコーバは症状が出て72時間以内に飲み始めないと効果が期待できない。自宅検査で感染の疑いがあるとわかった場合、医師が速やかに診断・処方する体制を国や自治体は整える必要がある。

今年5月にできた緊急承認制度の初適用になった。コロナ禍のような感染症の有事に薬やワクチンを迅速に審査する仕組みにもかかわらず、なぜ半年もかかったのか。塩野義が追加データを公表してからも2カ月を要した。

これでは通常の承認審査と何ら変わらない。硬直的な日本の薬事行政の課題が浮き彫りになった。緊急承認の判断基準となる有効性の「推定」も曖昧なままだ。新制度を徹底的に検証し、使い勝手の良い仕組みに改善すべきだ。

11月以降、多くの都道府県で「第8波」入りを思わせる感染の再拡大が起きている。経済・社会活動を止めてもらっては困る。政府、自治体、医療機関は、新しい飲み薬をうまく活用しながら、必要な医療が行き渡るよう最善を尽くす必要がある。

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