/

[社説]インバウンド解禁で成長力の底上げを

岸田文雄首相がニューヨーク証券取引所で講演し、「10月11日から米国並みの水準まで水際対策を緩和し、ビザなし渡航、個人旅行を再開する」と表明した。1日当たり5万人の入国者数の上限もあわせて撤廃する方針だ。

私たちは早くからインバウンドの解禁を訴えてきた。海外との往来の差し止めは経済や社会の活力を大きく毀損するだけでなく、新型コロナウイルス対策としても本当に効果があるのかどうか判然としなかったからだ。

煮え切らなかった岸田首相が時間がかかったとはいえ、「開国」を決断したことは歓迎したい。

水際措置の緩和で期待できるのは、短期の訪日に対するビザの免除の効果だ。ビジネスや学術、スポーツなど多方面の交流が促進されるだろう。コロナ前は米国など68の国・地域を対象にビザを免除していたが、適用範囲の拡大についても検討してほしい。

日本経済に即効性があるのはインバウンド観光の解禁だ。これまで政府は観光目的の来日について「個人旅行は認めず、ツアー旅行のみ解禁」といった世界でも珍しい規制を続けてきた。

円安の進む今は外からの観光客を呼び込み、日本をよく知ってもらう好機である。万一の場合の医療の受け皿を整えつつ、インバウンドの本格解禁によって日本経済の浮揚を後押ししたい。

ただ、水際措置の緩和だけでインバウンド消費が復活するわけではない。コロナ前から訪日旅行者の絶対数や1人当たりの消費額は伸び悩んでいた。さらに一部の観光地や大都市への旅行者の集中は、「オーバーツーリズム」として住民の反感を呼んだ。

一連の課題を乗り越えるために、手薄だった欧米やオーストラリアなどからの集客を強化する必要がある。先進国の旅行者は自然や伝統、食や文化への関心が高い。日本の魅力を生かして、付加価値の高い旅行体験を提供すれば、地方の経済は潤うだろう。

以前の主力だった中国からの観光客は当面あてにできず、それだけに地域ごとの旅行の「質」を高める創意工夫が一段と重要になる。人手不足を克服するための生産性向上の機会にもして、賃上げにつなげたい。

水際措置緩和の報を受け、足元では日本発着の国際線の予約が急増しているという。世界の人々の訪日意欲の高さの反映である。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン