春秋(1月24日)
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JR新宿駅の構内には以前「アルプス広場」があった。1980年代半ばまでは、シーズンになると長野方面へ向かう夜行列車を待つ登山靴の男女が朗らかに語り合っていたものだ。昨年の東西自由通路の完成に伴い消滅、今は化粧室にアルプスの名が残るのみである。
▼東西の風通しは良くなったが、駅の歴史の残り火のごときものがひとつ消えてしまった気もする。古い随筆だが、作家の幸田文は駅の特徴について、こう書いた。東京駅に...
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