/

[社説]「流域治水」を着実に進めよ

列島各地で豪雨の被害が相次いでいる。地球温暖化に伴って大雨の頻度や量は増えるとみられ、ダムや堤防の整備といった対策では水害を防げなくなってきた。河川の流域全体で水害を防ぐ「流域治水」を着実に進めるべきだ。

2021年度に関連法案が改正され、120を超す河川で計画が公表された。熊本県南部を流れる球磨川もそのひとつだ。20年の水害で凍結されていたダム計画が再開した。だが、ダムだけでは水害を防げないため、他の対策も組み合わせた流域治水に取り組む。

流域治水は人為的に水をあふれさせて被害を減らす手法だ。代表的な対策として、堤防に切り目を設ける「霞堤(かすみてい)」や遊水池がある。あふれた水を田畑や池に導いて河川の水量を減らし、下流の堤防決壊を防ぐ。

19年に甚大な被害を出した台風19号では、東京都や神奈川県を流れる鶴見川は被害を免れた。早くから警戒水位に達していたが、大小4千カ所を超す遊水池が大量の水を効果的にためたからだ。

計画推進のカギを握るのが住民の移転だ。霞堤や遊水池を整備するためには、立ち退きを求めざるを得ない。水害のリスクが高い地域の住民を安全な地域に集団移転してもらう対策も必要になる。

山梨大学の調査によると、河川の洪水による浸水想定区域に住むのは15年時点で1500万世帯あまりに達し、1995年より約25%増えた。手ごろな価格で買える住宅地の開発を進めた結果だ。まず、情報の適切な伝達と早めの避難で被害を抑える対策が要る。

法改正によって、水害リスクの高い地域に住宅地を新たに開発することは規制された。リスクが高い地域も、新たに集団移転の対象となり、農地整備や住宅建設などの費用は公的負担で済むようになった。離農など転職する場合は支援が得られる。しかし、住み慣れた土地への愛着がある。なぜ対策が必要なのかを国や自治体はていねいに説明し、協力が得られるよう努めなければならない。

初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン

権限不足のため、フォローできません