古賀信行 私の履歴書(26)財界総本山
野村ホールディングス名誉顧問
[有料会員限定]
2014年(平成26年)6月から経団連の副会長を務めた。就任する時、私はひとりの野村証券の大先輩を思った。秘書として2年間仕えた田淵節也元会長だ。
田淵さんは1991年の証券不祥事の責任をとり、経団連副会長を辞任した。90年12月に証券業界初の副会長に選ばれてから、わずか半年後のことだった。
田淵さんの副会長辞任について、メディアから「解任」と評されたことがあった。しかし、これは田淵さんが時の経...

世界的にも有名な大手証券グループのトップを長年勤めた古賀信行さんは、激動の金融市場を乗り切ってきました。経団連など金融・証券業界にとどまらない財界活動で新型コロナ禍に苦しむ日本経済の再生にも取り組みました。炭鉱の街、福岡県大牟田市で生まれ育ち、幼少期に激しい労働争議や炭鉱爆発事故を目の当たりにします。鹿児島市のラ・サール高校から東大に入学。就職した野村証券では人事や経営企画といった黒子役のほか、株式や債券の引き受けを経験して社内外に人脈を築きます。バランス感覚と広い知見はバブル経済崩壊後に野村証券が市場での地位を固めるのに欠かせないものでした。