春秋(5月19日)
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豊臣秀吉の息子、秀頼は幼名を「拾丸(ひろいまる)」といった。早世した兄は「棄(すて)」。名前らしからぬ、と思わぬでもないが、「捨て子はよく育つ」という民間信仰が由来と聞けば合点がいく。天下人が晩年に授かった大事な跡取りである。何よりも健やかな成長を望んだに違いない。
▼さらにユニークなのは織田信長だ。嫡男が「奇妙丸」、九男にいたっては「人」である。現代であれば周囲が止めるかもしれない。込めた親心...
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