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インドが再び半導体誘致 まず後工程、成功のカギ

インドが半導体産業誘致に乗り出した。モディ内閣は12月15日に総額1兆2千億円にのぼる半導体産業補助制度を閣議決定し、元日から対象プロジェクトの募集を始めた。世界の有力半導体企業の投資と技術移転を期待している。

シリコンウエハーに回路を組成する、いわゆる前工程を含む半導体工場の初期費用の半分まで補助する。中央と州政府が協力して用地、良質で豊富な水と電力、物流インフラなどを備えたハイテク工業団地を用意するという。一方で後工程工場を補助し、半導体設計のスタートアップ起業を支援し、人材の育成・供給も進めるなどして、周辺分野を含めた半導体産業を包括的に育成するという。

政策発表後、米ブルームバーグTVに出演したアシビニ・ベシナブ電子・情報技術(IT)相は「反応はとてもよい。ほぼ全ての世界の半導体大手から問い合わせが来ている」と主張した。「今後2~3年以内にいくつかの半導体工場が生産を始め、液晶パネル工場が1つは完成に近づいているだろう」と強気の予想も披露した。

その後、米インテルの受託製造(ファンドリー)事業のトップがインドの新政策について、人材育成まで含む総合的な産業政策だとして称賛するツイートを公開。それに応えてベシナブIT相が「インテルよ、インドへようこそ」と返信する場面があり、国内メディアが「インテルが進出か」と盛り上がった。

後でこれは社交辞令の交換だったことが判明したが、そもそも半導体産業育成は補助政策さえあれば実現できるほど生易しくない。これまでアジアで前工程を含む半導体産業を構築できたのは日本、台湾、韓国、シンガポール、マレーシア、中国だけだ。

インド政府は、土地、水、電力、人材と必要な要素を国を挙げて確保すると言うが、これらは皆インドでは言うほど易しくない。実際、地元住民の反対で用地確保に失敗したり、州政府が労働規制を一方的に変更するなど、外資工場誘致では何度も大きな挫折を経験している。

同国では労務も難しい。米アップルからiPhoneの製造を受託する台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業と緯創資通(ウィストロン)の工場はいずれも労働環境整備がうまくいかず、労働者の抗議運動を招いた。

インドはこれまで半導体誘致を何度か試みたが手を挙げる有力半導体企業は皆無だった。最初から前工程を狙うのではなく、まずは難度の低い後工程から始め、グローバル企業の信頼を築いてから前工程を狙うのが妥当に思える。

(編集委員 小柳建彦)

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