春秋(5月17日)
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仏教でヤナギは、その薬効などから霊木とされる。奈良市の古刹、大安寺には、かつて枝を手にしていたらしい楊柳観音が伝わる。京都の三十三間堂でも、祈願した浄水を小枝で参拝者に注ぐ「楊枝(やなぎ)のお加持」の仏事が古くから行われ、頭痛封じに御利益があるそうだ。
▼19世紀に入ると、欧州の学者らが葉の有効成分の分離や生成にこぎつけ、著名な解熱鎮痛剤「アスピリン」が生まれた。こんな故事にすがったわけではある...
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