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インドの「アグリテック」企業、流通近代化の担い手に

インド・ベンガルールのスタートアップ、63アイデアズ・インフォラボズは、IT(情報技術)を活用して耕作過程を農家に指導し、野菜や果物などの作物を指導先農家から買い付け小売店に卸す農産物サプライチェーン「ニンジャカート」を運営する。

同社が12月、同国ネット通販最大手フリップカートと、その親会社の米ウォルマートから合わせて1億4500万ドル(約165億円)の出資を受け話題になっている。農家と消費者とを直結する農産品流通チャネルがインド全土に広がる可能性がでてきたからだ。これまで新鮮な野菜の入手が難しかった多くの地域で、食の選択肢を増やす効果も期待できる。

このディールでの企業価値評価は昨年10月時点の5億ドルの2倍近い9億ドルで、ユニコーン(企業価値が10億ドル以上の未公開企業)の座に猛烈なスピードで近づいている。

企業価値の評価額の急速な上昇は、同社のビジネスモデルが多くの農家に受け入れられるようになり、多数の地域に展開して成長する軌道に乗ってきたことを意味する。現在デリーやムンバイなど11の主要都市圏の小売店に周辺の農家から作物を納めているが、今後は準主要級の都市に活動範囲を広げる計画だ。

インドの農家の多くが公設卸売市場から遠い場所で耕作しているため、作物を公設卸売市場に到達させるためには、畑まで買い付けに来てくれる「エージェント」とよばれる仲買人や経路途中の倉庫業者などのいくつもの中間流通業者に頼らざるをえなかった。段階を一つ経るごとに中間マージンを抜かれるため、農家が流通業者に作物を売る価格は直接公設卸売市場で売った場合よりはるかに低くなり、涙をのんできた。

ニンジャカートは畑から小売店までの流通過程を近代的なトラックや倉庫で一手に引き受け、農家が十分利益を出せる価格で作物を買い取る。収穫から小売店の店頭に並ぶまでの時間が短くなり、流通経路の途中での品質劣化とそれに伴う廃棄が最小限で済む。

フリップカートは1800の都市や町の消費者向けに食品のネット通販を提供中で、来年中に対象地区を倍増させる計画。この巨大小売り網と農家が直結するインパクトは大きい。

モディ政権は既得権益層の路上抗議運動に屈して農産物の流通改革を撤回してしまった。一方でニンジャカートのような「アグリテック」と呼ばれる分野のスタートアップは次々に資金調達に成功している。インドの農業改革はしばらく、それらの民間企業に依存することになりそうだ。(編集委員 小柳建彦)

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