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[社説]経済危機極まったスリランカ

経済危機にひんするスリランカでゴタバヤ・ラジャパクサ大統領が国外脱出し、政権が崩壊した。議会は20日に後任を選ぶという。1948年の独立以来、最悪とされる難局を脱するため、挙国一致の体制づくりを急いでほしい。

国民の窮状は目を覆わんばかりだ。最大都市コロンボの6月の消費者物価指数は前年より約55%上昇した。燃料や医薬品、食料など生活必需品の不足や高騰が深刻ななか、怒ったデモ隊が9日に大統領公邸に乱入し、占拠した。

危機の直接の引き金は、新型コロナウイルス禍による観光客の激減や、ロシアのウクライナ侵攻に伴う国際的な商品価格の高騰だ。外貨準備はコロナ前の4分の1まで急減した。外貨不足による輸入難が、モノ不足と物価高に拍車をかける負の連鎖を招いた。

国民の怒りの矛先は、ラジャパクサ一族の長年の権力私物化とそれを陰で支えた中国に向かう。

兄のマヒンダ氏が2005~15年、弟のゴタバヤ氏は19年から大統領を務め、政権の主要ポストも親族で占めた。権力誇示へ中国マネーを使い、道路や鉄道、港湾などのインフラ整備を加速した。

無謀な投資は思うような経済効果を生まない。17年、99年間の運営権を中国へ与えた南部のハンバントタ港は、援助と引き換えに権益を奪われる「債務のワナ」の典型とされる。縁故政治と汚職体質、過度の対中依存が、危機の底流にあるのは否定できない。

直近の対外債務は500億ドル(約7兆円)超に膨らんだ。5月には支払い猶予期限を迎えた国債の利払いができず、初のデフォルト(債務不履行)状態に陥った。難航する国際通貨基金(IMF)との支援交渉が、政情混乱によって遅れることも懸念される。

経済失政により4月にはパキスタンでもカーン前政権が崩壊した。経済危機が政治危機に波及すれば国際秩序が不安定になる。日本を含む主要国は危機の芽を摘むため、新興国への緊急融資や人道支援に積極的に取り組むべきだ。

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