古賀信行 私の履歴書(24)サブプライム
野村ホールディングス名誉顧問
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「なぜ、これほど低いのですか?」
野村ホールディングス(HD)が自己資本利益率(ROE)15%を記録した2006年3月期決算に対する、米国投資家の反応だった。事業に必要な資金をもっと借り入れで賄うようにすれば、ROEをさらに上げられるではないか、というわけだ。
実際、ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーなど証券業を専門とするウォール街の投資銀行は、こうした財務手法を駆使して20〜30%の...

世界的にも有名な大手証券グループのトップを長年勤めた古賀信行さんは、激動の金融市場を乗り切ってきました。経団連など金融・証券業界にとどまらない財界活動で新型コロナ禍に苦しむ日本経済の再生にも取り組みました。炭鉱の街、福岡県大牟田市で生まれ育ち、幼少期に激しい労働争議や炭鉱爆発事故を目の当たりにします。鹿児島市のラ・サール高校から東大に入学。就職した野村証券では人事や経営企画といった黒子役のほか、株式や債券の引き受けを経験して社内外に人脈を築きます。バランス感覚と広い知見はバブル経済崩壊後に野村証券が市場での地位を固めるのに欠かせないものでした。