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[社説]永続性ある観光地づくりを

世界各地で観光客の受け入れが再開しつつある。新型コロナ禍前は旅行者の急増で住民の生活に支障が生じるなど弊害も目立った。円安を生かすインバウンド消費の拡大は急務だ。観光を地域経済の着実な成長につなげるため、サステナビリティー(持続可能性)への目配りを忘れず進めたい。

旅行者の増加は交通機関や街の混雑などを招いた。経済効果という点も、訪日外国人の数は増えたものの、コロナ前には1人当たり消費額が頭打ちとなっていた。コロナがなくとも観光政策は見直しの時期を迎えていたといえる。

海外ではイタリアのベネチアが受け入れ客数の上限を決め、米ハワイは観光客用のバス路線を設けた。自然や生活環境の保護と観光を無理なく共存させる工夫だ。住民に観光客への忌避感があっては魅力的な観光地にはなれない。

訪問者側の変化も背景にある。日本政府観光局(JNTO)の世界調査(2021年)では欧州、オーストラリア、米国で訪問先に負荷をかけず、地場産業や伝統文化の成長に役立つ旅をしたいとの意識が広がりつつある。

東南アジアでもこうした価値観が台頭している。日本がこれから集客を強化すべき地域と重なる。おいしい地元食材の料理、伝統文化の体験には喜んで出費する傾向が強い。サステナビリティーという視点は付加価値の高い旅の体験や土産物の開発にも生かせる。

新たな価値観を持つ顧客をつかむためには、サービス面でも逆転の発想が求められる。ペットボトル入りの水を客室に無料で用意することは、プラスチックごみを増やすためイメージダウンになる可能性がある。JNTOの調査では使い捨て食器や過剰包装に嫌悪感を感じるとの声が目立った。

国内でも若い世代は学校で環境問題や国連のSDGs(持続可能な開発目標)を学び、日常生活だけでなく旅先でも持続可能性を気にする傾向がある。サステナブルな観光の提供は若い国内旅行者の獲得にもつながる。

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