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[社説]技能実習は廃止し特定技能に一本化せよ

外国人の技能実習制度について政府が本格的な見直しに着手する。年内にも有識者会議を設置し、議論を始めるという。

技能実習制度は国際貢献を理念に掲げながら、実際には人手不足を補う労働力の受け入れ手段となってきた。7月下旬の記者会見で当時の古川禎久法相は「長年の課題を歴史的決着に導きたい」と表明した。決断は妥当だが、スピード感は物足りない。

そもそも2019年に外国人材の受け皿として特定技能制度を設けた際、抜本的な見直しができたはずである。技能実習には弊害が多く、人権侵害にあたると海外から批判されている。併存させたのは問題であり、廃止に向け議論を急ぐべきだ。

違法な長時間労働や賃金不払いなど技能実習を巡るトラブルは絶えない。厚生労働省によると、労働関係法令違反の事業所は21年に6556件にのぼり増加傾向だ。

原則3年間は転職ができず、労働者として立場が弱いという構造的な問題がある。仲介業者に多額の借金をして来日する実習生も多く、失踪の一因となっている。

小手先の改革では改善は見込めない。技能実習は廃止し、単純労働力を正面から受け入れる特定技能に制度を一本化すべきだ。

技能実習生の人数は21年末時点で約28万人にのぼり、特定技能の約5万人を大幅に上回る。一本化には移行期間を設けるなど混乱を避ける手立ても必要になろう。

特定技能の資格者はまだ少ないため、トラブルが顕在化していない可能性もある。受け入れ企業の検査や、働き手の相談窓口の十分な精査が重要になる。

特定技能の日本語能力試験は外国人にとってハードルが高い。技能実習では働きながら日本語を学び、試験なしで特定技能に移行できる仕組みがある。技能実習の廃止後は主要な国に日本語研修機関を設けるなど、人材を育て確保する工夫も政府には求められる。

大切なのは外国人が安心して働き、生活できる環境づくりだ。企業は日本人と同等に能力開発の機会を提供し、スキル向上に見合った賃上げが欠かせない。政府は長期就労や家族の帯同ができる特定技能の業種を広げるべきだ。家族の支援も充実させる必要がある。

課題を先送りすれば、世界での人材獲得競争に後れを取るばかりだ。今こそ受け入れ体制の不備を洗い出し、改善を急ぐときだ。

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