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[社説]中国とロシアはミャンマー国軍の後ろ盾をやめよ

政治犯の死刑執行など民主派弾圧を一段とエスカレートさせるミャンマー国軍に対し、東南アジア諸国連合(ASEAN)は先週開いた外相会議で深い失望を表明した。対する国軍は「一方的な評価は避けるべきだ」との声明を発表し、強い拒絶反応を示した。

ASEANは加盟国の主要会議から国軍を排除し、暴力の停止を迫っている。それでも国軍が強気を崩さないのは、中国とロシアの支援をあてにできるとみているからだ。両国はさらなる弾圧の後ろ盾となるのを避けるべきだ。

ミャンマー情勢に関し、中ロは国軍と民主派の対話調停を目指すASEANの取り組みを支持すると表明してきた。ところが実際はむしろ足を引っ張っている。

ロシアのラブロフ外相は3日、地域の安全保障を話し合うASEAN地域フォーラム(ARF)に参加するためカンボジアへ向かう途上、ミャンマーに立ち寄った。ミンアウンフライン総司令官との会談で国軍への連帯を表明し、軍事協力の拡大にも言及した。

一方、中国の王毅国務委員兼外相も7月初め、2021年2月の政変後初めてミャンマーを訪れ、経済関係の強化に合意している。

ASEANは昨年4月の特別首脳会議で、暴力の即時停止、特使と全当事者との面会などの合意を取り付けたが、国軍は約束を守らない。このため同10月以降、首脳会議や外相会議に国軍の代表者を招待せず、孤立に追い込むことで、合意の履行を迫ってきた。

しかし中ロが国軍との要人往来を活発化させている現状では、まるで穴の開いたバケツに水を入れているに等しい。このままでは国軍に譲歩を求めるのは難しい。

人権団体によればクーデター以降の1年半で、国軍は2100人超の市民を殺害し、100人以上の政治犯に死刑判決を下した。7月末には元下院議員ら4人に刑を執行し、強い非難を浴びた。

中ロの国軍寄りの姿勢は、台湾やウクライナ情勢を巡る米欧や日本との対立も影響しているのだろう。それでも自国民の虐殺や不当な極刑を黙認すべきではない。

これまでの米欧の経済制裁や日本の説得は成果に乏しい。調停役を買って出たASEANにとり、ミャンマー問題は地域機構としての存立を脅かす深刻な問題だ。アジアにおける分断や人権侵害に歯止めをかける意味からも、中ロを積極的に引き寄せてほしい。

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ミャンマー国軍は2021年2月1日、全土に非常事態を宣言し、国家の全権を掌握したと表明しました。 アウン・サン・スー・チー国家顧問率いる政権を転覆したクーデターを巡る最新ニュースはこちら。

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