[社説]言語道断のロシア軍事演習 - 日本経済新聞
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[社説]言語道断のロシア軍事演習

ウクライナ侵攻のさなかにどこまで緊張をあおるつもりなのか。ロシアは大規模軍事演習「ボストーク(東)2022」を実施した。演習地には北方領土が含まれた。到底容認できない。

演習は年に1度で、今年はシベリアと極東を含む地域での開催となった。ロシア軍は択捉島と国後島でも実施したと発表。択捉島では敵の上陸作戦を阻止する装甲車が海岸線を走ったり、砲撃したりする様子を公開した。

日本政府は演習地から北方領土を除外するよう事前に求めていたが、無視された。言語道断だ。松野博一官房長官は「極めて遺憾だ」と表明した。日本としては抗議し続けることが重要だ。

演習の規模はウクライナ侵攻の影響で大幅に縮小されたが、外国から14カ国が参加した。国際的に孤立していないことをアピールする狙いだろう。

特に、ロシアがインドを引き入れたことは日米豪印の枠組み「Quad(クアッド)」を分断し、インド太平洋地域で西側陣営に対抗する思惑がうかがえる。

中国との接近も注意が必要だ。北海道沖の日本海やオホーツク海では中国艦艇を交え、小規模ながらも射撃訓練を含む演習を実施した。今月中旬には対面での中ロ首脳会談が予定されるなど幅広い連携が鮮明になっている。

ロシア政府は5日、北方領土の「ビザなし交流」を破棄すると公表した。これにより元島民らが墓参を含めて訪問することは事実上不可能になった。その心痛はいかばかりか。

日本が経済制裁に踏み切ったことに対抗する措置とみられる。ただ、制裁とビザなし交流はまったく違う枠組みだ。協議もなしに一方的な通告は受け入れることはできない。

人的交流さえ認めないロシアはそれだけ追いつめられているのだろう。今後も理不尽な振る舞いが予想される。それに屈し、妥協してはならない。ロシアには強い態度で向き合うことが求められる。

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