[社説]不登校の子に学びの保障を

2021年度に30日以上欠席した不登校の小中学生が24万人に上り、過去最多となったことが文部科学省の調査で分かった。
要因別では「無気力、不安」がほぼ半数を占めた。長引く新型コロナウイルス禍で窮屈な学校生活が続き、登校意欲が減退している実態が浮かぶ。学校で情報端末を活用した授業が進む中、オンラインの遠隔学習も活用し、不登校の子どもの学びを保障すべきだ。
不登校の子どもを支援する目的は、学校への復帰だけに限らない。学校と地域の教育機関が連携し、将来の進路を見据えた社会的な自立を促す視点が大切だ。
学校が民間のフリースクールやNPO法人などと手を携え、学習機会を確保する。17年に施行した教育機会確保法で、文科省はその方向性を明確にした。
しかし、今回の調査で気になるのは、学校のみならず民間機関からも支援を受けていない不登校の子どもが36%もいたことだ。この割合は近年、増加傾向にある。どのような家庭の事情なのか。背景を把握し、行政の責任で学びの場を確保する必要がある。
一部の自治体ではコロナの緊急事態宣言期間中に、対面とオンライン授業を同時に行うハイブリッド授業を導入した。しかし、あくまでも感染症対策と位置づける学校が多い。
一方、文科省は不登校の子どもに対し、情報通信技術を活用した学習支援に取り組むよう各教育委員会に促している。すでにタブレット端末や、ルーターなどの機器は整っている。
保護者と教員の間に十分な連携があることや、定期的に学校カウンセラーと面談する機会を確保するなど、一定の条件のもとで遠隔授業も出席扱いとする運用を広げたらどうか。
教員が多忙をきわめ、学校が個別に対応することが難しい場合もあるだろう。同じ教科書を採択する複数の自治体で共通のオンライン授業を収録し、活用するなどの対応を望みたい。