春秋(4月3日)
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「重役室にいるときの重役ほど威厳のある者はない」。短編小説「颱風(たいふう)さん」は思わずうなずく1行で始まる。作者の源氏鶏太は会社員経験を生かし「三等重役」「停年退職」などの作で共感を集めた。時は戦後の好景気。経営は家族主義、評価は人柄重視だった頃だ。
▼そんな「源氏の血」の継承者がやはり元会社員である漫画家、弘兼憲史氏の島耕作シリーズだという(真実一郎「サラリーマン漫画の戦後史」)。団塊世代...
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