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「なでしこ」大宮に再集結 佐々木総監督の新設チーム

WEリーグへの参入を決めた大宮アルディージャで、佐々木氏は女子チームの総監督を務める。左は当時の森正志・大宮社長(2020年10月)=大宮アルディージャ提供

女子サッカー日本代表「なでしこジャパン」ゆかりのメンバー、大宮に再集結――。2021年秋に開幕する女子サッカーの「WEリーグ」に新チームとして参入する大宮アルディージャVENTUS(ベントス)に、名の知れた実力者が次々と加わっている。総監督としてチームを編成するのは11年女子ワールドカップ(W杯)優勝監督の佐々木則夫氏(62)。「ノリオ・オールスターズ」の挑戦やいかに。

現日本代表からもリスペクトされそうな顔ぶれだ。阪口夢穂(33)は黄金期の「なでしこ」で中盤の要だった才人、鮫島彩(33)もW杯優勝に貢献したSBで、今なお代表メンバーの一人でもある。GKスタンボー華(22)はU-20(20歳以下)W杯優勝メンバー、DF乗松瑠華(25)はケガに悩まされてきたものの、年代別代表で主将も務めてきた。

加えて、阪口や鮫島らの「戦友」で昨年引退したばかりの大野忍(37)が新任コーチとして脇を固める。FWには外国人選手が入団に前向きで、夏ごろには仲間入りしそうという。

優れたベテランは、いるだけで若手を刺激し成長させる。W杯優勝チームでの実体験が、佐々木氏にはある。大宮Vを一から育んでいくにあたり、勝手知ったる生きたお手本たちに声をかけたのは、理にもかなうことだっただろう。

WEリーグは女子初のプロリーグ。ただし大宮Vでは当面はプロとアマを6対4ほどで混在させるのが佐々木氏の考えだ。「高卒・大卒選手はいくら技量があってプロへの意欲が強くても、まずは社会を踏ませる」。サッカーだけできればよし、といった視野狭窄(きょうさく)に陥らぬよう社会性も身につけさせる。

「サッカーのみならず、社会においても輝く女性を育むことがWEリーグの理念なのだから。いまのベテラン勢も、様々な仕事もしながら自分を磨いた選手が多い」。午前に練習する環境を整え、空いた時間は仕事なり学びなりネットを活用した活動なり、選手が「やらされるのではなく、自身のアイデアで」自らとクラブの価値を高める行動を促していく。

数年前に開いたサッカー教室で、大宮の男子チーム(J2)のユニホームを着た女子小学生のつぶやきが佐々木氏の耳に残っている。「私はこのユニホームで選手にはなれないんですね。(女子チームのある)浦和の子は将来もあのユニホームで試合ができるけど」

W杯優勝で沸いた女子サッカーブームは色あせた。だが、女子サッカーを求める声は生きている。「女子の文化をつくるアクションを何か起こしたい」。温めていた思いを、新リーグにぶつける。

コロナ禍の出口はみえず、経営はとても左うちわでとはいかない。「なぜこんな時に」と知人にはたしなめられる。それに佐々木氏は「こんな時だから、やるんだよ」と応じる。「困難は受け止めつつも、ナーバスになりすぎては、きりがない。何もしないのがいい、という社会ではよくない」

チームを指揮はしないが、日本代表監督時代の合言葉「アクション」の掛け声のもと、新生・大宮Vを攻守にアクション、さらには社会ではつらつとアクションできる集団にしていくつもりだ。年代物のワインのようなメンバーを引き連れての新たな一歩は、輝かしい過去を新たな形でよみがえらせ、新リーグという未来へつなごうとする氏なりの試みなのだろう。

(岸名章友)

WEリーグと大宮VENTUS WEリーグは9月に開幕予定の女子初のプロリーグ。WEは「Women Empowerment」の略で、プロ化とともにリーグを通じて女性の社会参画を推進することを理念とする。クラブ運営法人の役職員は50%以上を女性とするなどの参入条件がある。国内の女子トップリーグとして初年度は11クラブでスタート。女子チームのなかった大宮アルディージャは、なでしこリーグ2部所属だったFC十文字から選手を引き継ぐ形で大宮Vを発足。監督は大宮でゼネラルマネジャー(GM)などを歴任した岡本武行氏(53)が務める。

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