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サッカーW杯予選「ヤマ場の2戦」 高温多湿の克服が鍵

サッカージャーナリスト 大住良之

中国戦の日本代表イレブン。(前列左から)柴崎、久保建、古橋、長友、(後列左から)吉田、室屋、GK権田、伊東、大迫、遠藤航、冨安(C)JFA

2022年ワールドカップ(W杯)カタール大会アジア最終予選、サウジアラビア戦(10月7日、ジッダ)、オーストラリア戦(同12日、埼玉スタジアム)に臨む日本代表25人が28日、発表された。9月の2試合を連勝で飾った両チームとの直接対決は、最終予選の「最初のヤマ場」だ。

最低気温でも30度近くあるジッダの戦い

9月のメンバーからは、ケガのMF久保建英(マジョルカ)、FW古橋亨梧(セルティック)、DFの山根視来(川崎)と佐々木翔(広島)が外れ、DF橋岡大樹、MF浅野拓磨、三好康児、田中碧、FWオナイウ阿道が加わった。オナイウは9月の代表活動を途中離脱した南野拓実の代わりに追加招集された。9月にイエローカードを2枚受けたMF伊東純也はサウジアラビア戦には出場できない。

GK 川島永嗣(ストラスブール)権田修一(清水)谷晃生(湘南)
DF 長友佑都(FC東京)吉田麻也(サンプドリア)酒井宏樹(浦和)室屋成(ハノーバー)植田直通(ニーム)板倉滉(シャルケ)中山雄太(ズウォレ)冨安健洋(アーセナル)橋岡大樹(シントトロイデン)
MF 原口元気(ウニオン・ベルリン)柴崎岳(レガネス)遠藤航(シュツットガルト)伊東純也(ゲンク)浅野拓磨(ボーフム)南野拓実(リバプール)守田英正(サンタクララ)鎌田大地(アイントラハト・フランクフルト)三好康児(アントワープ)堂安律(PSVアイントホーフェン)田中碧(デュッセルドルフ)
FW 大迫勇也(神戸)オナイウ阿道(トゥールーズ)
中国戦で長友(左端)とタッチを交わす森保監督=(C)JFA

森保一監督はカタールのドーハで行われた9月7日の中国戦後は帰国せず、欧州で選手たちを視察、対話を続けてきた。9月のオマーン戦では、個々の選手のコンディションを見極めることができず、低調なプレーに終始したが、今回はトレーニングの様子も直接確認できた。ドイツからリモートで出席したメンバー発表会見では、「コンディションの良い選手を選んだ」と自信の表情を浮かべた。

サウジアラビアは攻撃力があるが、最も懸念されるのはジッダの暑さだ。現在の天気予報によると、10月7日は快晴、最高気温37度、最低気温29度。湿度52%、北西の風6メートル。紅海に面したジッダの西風は水蒸気を目いっぱい吸い込んでおり、猛烈な蒸し暑さに襲われる。

日本代表の大半がプレーしている欧州はすでに秋の気配が濃く、連日20度を下回る。森保監督が直接確認したのだから、選手たちのフィジカル状態はいいのだろうが、いきなりの暑さにどれだけ適応できるか?

「チームのコンセプトを守り、勝ち点3を取るために全力を尽くす」と森保監督は話すが、戦況次第では引き分けでよしとしなければならなくなるかもしれない。5万人収容のスタジアムに3万人が入る想定で行われる試合で、日本がもし前線からのプレスを少しでも弱めれば、相手は勝って日本を勝ち点で引き離す機会を逃すまいと猛烈な圧力をかけてくるに違いない。安易な「引き分け狙い」が非常に危険であることは理解しておかなければならない。

「チームとしての距離感よく戦うことが重要」と、森保監督は難しいコンディション下の試合のポイントを語る。相手のアグレッシブな個人突破に個々で対応せざるをえない状況を避け、90分間、守備組織をしっかりと保ちつつ、チャンスをうかがう戦いが必要だ。

久保建㊧の負傷離脱は痛かった。写真はレアル・マドリード戦でベンゼマと競り合う久保=共同

サウジアラビア戦のキックオフ時間はまだ正式には発表されていないが、サウジアラビア・サッカー協会の公式サイト上では「21時」となっている。日中の猛烈な暑さは一段落したころになるものの、気温が下がれば湿度が上がる。厳しいコンディションであることに変わりはない。ジッダの21時は、日本時間では翌8日の午前3時である。

なんとしてもサウジアラビア戦に勝ちたいワケ

オーストラリアはホームでのオマーン戦を終えて、日本に乗り込んでくる。両チームにとって7日の試合の結果が戦いに大きな影響を与える。もし日本がサウジアラビアに負け、オーストラリアがオマーンに勝って3連勝、勝ち点を9に伸ばしての試合になったら……。オーストラリアは当然「引き分けでOK」と、守備を固めてカウンター狙いの試合にするはず。そうした状況にしないためにも、サウジアラビアには何としても勝ちたい。

サウジアラビア戦には、伊東、久保、古橋と7日の中国戦で活発な攻撃を見せた「2列目」の3人がそっくり使えないのは痛い。特に久保は中国戦では相手ペナルティーエリア周辺で決定的な仕事を何回もしただけに、大きな打撃だ。ただ、南野が復帰し、スピードスターの浅野も招集。伊東の穴は堂安律が伊東とはまた違った質の高いプレーで埋めるだろう。

南野㊥の代表復帰は好材料=ロイター

ワントップは大迫勇也がプレーするのか、フランスで力を発揮しているオナイウが担うのか、注目ポイントのひとつだ。

板倉滉、田中……、待たれる若い選手の躍動

今回、私が最も期待しているのが板倉滉と田中。9月、板倉はケガで代表を離脱し、田中は欧州への移籍直後だったため招集されなかった。中盤の柱である遠藤航と組むボランチとして、攻撃力のある田中と守備力のある板倉とタイプが違う2人が控えていることは日本の中盤の質を確実に上げるだろう。

ボランチには9月の2試合でプレーした柴崎岳、9月はケガでプレーできなかったが得点力のある守田英正という経験豊富な選手もいる。しかし、この予選でチームが伸び、W杯で世界と渡り合えるようになるためにも、田中と板倉が今回のチャンスをつかみ、代表の中心になっていくことを期待したい。 

デュッセルドルフの田中(手前右)は代表の中心になるようなプレーを見せてほしい=共同

「若い選手には、より野心をもって、このチームに絶対に残る、2試合とも勝って存在感を発揮するというハングリーさ、アグレッシブさを出してほしい」と、森保監督も若手への期待を語る。

「試合内容か、勝利か」と聞かれれば、何の迷いもなく「勝利」と答えられるのがW杯予選。だが、若い選手たちの「伸びる力」で満たされ、試合内容も日本のファンをわくわくさせるものになってほしいと思うのは、私だけではないだろう。

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