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夢続く浅田さん、サンクスツアーから「真央リンク」へ

サンクスツアーの最終公演で演技する浅田真央さん=共同

浅田真央が全国に感謝を届けます――。

2018年にこのキャッチフレーズとともに始まって約3年、「浅田真央サンクスツアー」が4月26、27日の横浜アリーナ公演で千秋楽を迎えた。浅田さんがフィギュアスケートの現役時代のプログラムで使用した曲を中心に90分弱ノンストップで滑りまくるショー。キャスト選考、振り付け、コーチ役まで担ったプロデューサー、浅田さんは「すごい必死だった。全てを出し切れた」と笑顔で振り返った。

05年、15歳でグランプリシリーズにデビュー以降、常にスポットライトの中にいた浅田さん。17年春の引退後、毎年ホステス役を務めていたショー「ジ・アイス」で有終の美を飾ると、スケートで人前に出てくることはなかった。その沈黙を破ったのがサンクスツアーだった。

「応援は力になる」と言い切る。現役時代、演技前の声援が心の中にストンと入り、力として蓄えられたと感じる瞬間が幾度もあったという。その応援への感謝の気持ちを伝えようと始めたツアーは「いつまで続くか全くわからなかった。10カ所程度、18年で終わる予定だった」。

キャスト10人での息の合った流れるような構成が魅力のサンクスツアー。女性キャストとの群舞で演技する浅田さん(中央)=共同

通常のショーの半額以下のチケット、開催地住民優先の販売……。「呼ばれたらどこへでも行く」という浅田さんの意気込みに、北海道から沖縄まで日本全国から声がかかる。訪れたのは島根、香川両県など、アイスショーに縁のなかった地域も含めて全国50カ所。ショー向きでないリンクでも滑った。

無良崇人さん、今井遥さんら全日本選手権の上位入賞者もいたものの、10人のキャストの多くは通常のショーに出たことがない、出てもソロで滑る機会がないという人ばかりだ。当初はぎこちなさも見えたが、同じメンバーで練習し続ける良さか、1年後には流れるような構成に進化。ジャンプや難しい技がなくても、魅了できることを証明するようなショーになった。浅田さんは、中学生の頃から世話になってきた振付師、ローリー・ニコルさんらのアドバイスも取り入れ、少しずつ内容を変えていったという。

「自分が頑張ることで引っ張りたい」と話していた浅田さん。1年でキャストたちを育て上げた(19年5月のショーで)

旅先では子供たちと交流、被災地で出会った学生に運営ボランティアを依頼したり、ブラインドサッカーをする子供たちを招待したりした。通常のショーではできないことができたのも、手弁当のショーならでは。「選手時代と同じくらい、頭の中がスケートのことでいっぱいだった。いろんな場所でいろんな経験をできてある意味、選手時代より充実していたかも。選手時代には感じられない達成感があった。お客さんの喜ぶ姿を見ていると、楽しんでもらえたのかな」とうれしそうに話す。

新型コロナウイルス禍でツアーは一時中断したものの、20年8月に再開。小規模な会場を回るツアーは不意の中止に弱い。所属事務所IMGが主催するショー(4月22~25日)のために氷を張った横浜アリーナを転用できることから、ここでとりあえずフィナーレとした。「リンクでは一人ではないというのを強く感じた。緊張もしたけれど、選手の時には感じない(種類の)たくさんの愛を感じるサンクスツアーの空間が好きだった」と名残惜しそうに話す。

グランドフィナーレであいさつするキャストたち。右から5人目が浅田さん=共同

コロナ禍が過ぎた後、なんらかの形でツアーは再開したいようだ。当分は「アイスリンクをつくる夢のために進んでいければ。自分のイメージはあって、今、いろいろ相談しながら進めているんです」。五輪、サンクスツアー、そして〝真央リンク〟へ。浅田さんの夢は続く。

(原真子)

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