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コロナ禍の五輪 メダル競争ではなく原点回帰を

五輪憲章は「オリンピックは選手間の競争であり、国家間の競争ではない」と定めている。しかし、現実は巨大な国別対抗のスポーツ大会であることは否定できない。大会が始まればメディアは国別の獲得メダル数を連日のように紹介する。

国際オリンピック委員会(IOC)の資料などによると、過去の夏季大会で金メダルを最も多く獲得してきたのは米国で計1022個。次に多いのは1952年大会から88年大会まで参加したソ連(当時)で計395個。東西冷戦下ではこの2つの大国と東ドイツ(当時)が金メダルの数を激しく争い、80年モスクワ大会は米国が、84年ロサンゼルス大会はソ連と東ドイツが互いにボイコットした。

冷戦後に新たに米国のライバルとして台頭したのは中国。自国開催の2008年北京大会で48個の金メダルを獲得して米国を抑えてトップとなった。

五輪の歴史を振り返ると、大国がメダルの数によって国力を誇り、国威発揚に利用してきたことがよく分かる。

日本はこれまで夏季大会で計142個の金メダルを獲得している。57年ぶりの東京大会では史上最多となる30個の金メダル獲得の目標を掲げていた。

だが、新型コロナウイルス禍での大会は、開催できたとしてもメダルの意味が従来とは違ってくる。各競技の予選の開催もままならず、十分なトレーニングが積めないアスリートもいる。海外からの一般の観客はいない。

公平でない条件でのメダルを素直に喜べるだろうか。メダルの色や数ではなく、アスリートのパフォーマンスの価値やストーリーに目が向けば、五輪の原点回帰のきっかけになるかもしれない。

(編集委員 北川和徳)

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