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ノーザンファーム、逆襲へ着々 21年の3歳クラシック

共同通信杯を制し3戦無敗のエフフォーリア=共同

4月の声を聞き、3歳クラシックの開幕が近づいてきた。11日には桜花賞(阪神・GⅠ)が行われ、18日には皐月賞(中山・同)が続く。2020年はコントレイル、デアリングタクトと牡牝そろって無敗の三冠馬が誕生する一方、独り勝ちが続いていたノーザンファーム(NF)がタイトルなしで終わった。だが、2021年は対照的で、現3歳世代(18年産)を対象とした27の重賞競走で、NF生産馬は19連勝を含む22勝と猛威を振るう。また、有力馬と若手騎手のコンビが注目を集めるなど、話題も多い。

NF生産馬、半年で2~3歳重賞19連勝 

20年最初の2歳重賞は7月18日のGⅢ、函館2歳ステークス(以下ステークスはSと表記)で、優勝したリンゴアメ(父マツリダゴッホ)はビッグレッドファーム(北海道新冠町)の生産。2戦目の新潟2歳S(8月30日)はアイルランド産のショックアクション(父グレンイーグルス)が勝った。

NF生産馬の進撃が始まったのは翌週だった。9月5日の札幌2歳Sで話題の白毛の牝馬ソダシ(父クロフネ)が優勝。白毛馬が芝の重賞を勝ったのはJRAで史上初だった。翌6日の小倉2歳Sはメイケイエール(牝、父ミッキーアイル)が快勝した。メイケイエールは白毛ではないが、曽祖母とソダシの祖母は同じ白毛馬シラユキヒメで近親に当たり、一族の繁殖牝馬はNF所有が多い。

10月以降はNF生産の牡馬が次々に重賞を勝った。ステラヴェローチェ(父バゴ)がサウジアラビアロイヤルカップを勝ち、京王杯2歳Sはモントライゼ(父ダイワメジャー)、デイリー杯2歳Sはレッドベルオーブ(父ディープインパクト)が優勝。11月23日には、前年にコントレイルが衝撃的な圧勝を飾った東京スポーツ杯2歳Sで、ダノンザキッド(父ジャスタウェイ)が勝ち、翌週のラジオNIKKEI杯京都2歳Sはワンダフルタウン(父ルーラーシップ)が制覇した。この間、牝馬重賞ではソダシとメイケイエールが連勝を伸ばした。

牡牝の2歳GⅠが組まれる12月も、勢いは止まらなかった。阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神JF)では好位置から早めに先頭に立ったソダシが、同じNF生産のサトノレイナス(父ディープインパクト)を鼻差で抑えて4戦無敗。阪神1600㍍の朝日杯フューチュリティSでは、未勝利を勝ったばかりのフランケル産駒グレナディアガーズが1分32秒3の中央レコードタイで実績馬を抑えた。皐月賞と同じ中山芝2000㍍のホープフルSも、ダノンザキッドが3連勝で締めくくった。GⅠの3戦でNF生産馬は1、2着を独占し、朝日杯FS、ホープフルSは3着もNF生産だった。

年が明けても連勝は止まらず、京成杯優勝のグラティアス(父ハーツクライ)、共同通信杯優勝のエフフォーリア(父エピファネイア)など新星も台頭。3月6日の桜花賞トライアル、チューリップ賞(阪神・GⅡ)では、阪神JF4着のメイケイエールが、道中で制御が利かずに先頭に立つ形から、エリザベスタワー(父キングマン、英国産)と同着ながら連勝を死守。翌7日の弥生賞ディープインパクト記念で、タイトルホルダー(父ドゥラメンテ、岡田スタッド=北海道新ひだか町=生産)が逃げ切り、ようやく連勝が19で止まった。

エフフォーリア、新鋭横山武でGⅠ狙う

生産界の絶対王者NFにとっては、自家生産馬が混戦を展開する今年の構図は最上。昨年の最優秀2歳牡馬ダノンザキッドは、今年初戦の弥生賞で人気を裏切り、3着と初黒星を喫した。緩い流れで逃げたタイトルホルダーが勝ったように展開が向かず、評価急落というわけではないが、もともと絶対視されてもいなかった。

ホープフルSを勝って最優秀2歳牡馬に選定されたダノンザキッド。今年初戦では初黒星=JRA提供

注目は年明けに台頭したNF生産馬で、筆頭がエフフォーリアだ。昨夏の札幌で初戦を勝ち、11月に東京の1勝クラスの特別で連勝。3戦目の共同通信杯も好位置から早めに抜け出し、2着ヴィクティファルス(父ハーツクライ)に2馬身半差で圧勝した。ヴィクティファルスは次戦の皐月賞トライアル、スプリングS(中山・GⅡ)を勝ち、共同通信杯3着のシャフリヤール(父ディープインパクト)も3月27日の毎日杯(阪神・GⅢ)を1分43秒9と破格のレコードで優勝。両馬を完封したエフフォーリアの評価は急上昇している。

初戦から同馬に騎乗しているのは22歳の新鋭・横山武史騎手で、父は今も現役で活躍する名手・横山典弘騎手(53)だ。横山武は今年すでに重賞を3勝。父は22歳の年にメジロライアンの主戦として三冠路線に臨んだが3、2、3着と惜敗が続き、皐月賞、菊花賞制覇は8年後(セイウンスカイ)、日本ダービー優勝は41歳の09年(ロジユニヴァース)だった。

横山武はエフフォーリアについて「デビュー前の札幌から乗ってすごい馬と感じていた。思い入れのある馬」と話す。外国人とベテランが幅を利かせる騎手界。横山武が日本ダービー制覇となれば、歴代4位の若さとなる。

国枝調教師、金子真人HDは有力馬2頭ずつ

11日の桜花賞も、NF生産馬の中から勝ち馬が出る可能性が高い。現時点では阪神JFで1、2着のソダシ、サトノレイナスが有力視されるが、いずれも桜花賞が今年初戦。それぞれ放牧先から栗東、美浦に戻り、順調に調整されている。

阪神JFを鼻差で競り勝った白毛馬ソダシ=JRA提供

毛色からひときわ注目を集めそうなソダシは、金子真人ホールディングス(HD)の所有で、金子氏は個人名義の時代に所有していたシラユキヒメ以来、白毛一族との縁が深かった。一方、サトノレイナスはアパパネ、アーモンドアイで3歳牝馬三冠を2度も達成した国枝栄厩舎(美浦)の所属。アパパネは金子真人HD所有で、金子氏との関係も深い。

面白いのは今回、アパパネの子アカイトリノムスメ(父ディープインパクト)も、有力候補に台頭している点だ。もちろん、金子真人HD所有で国枝調教師の管理馬である。新潟の初戦で7着に敗れた後、未勝利、1勝クラスの特別を連勝し、今年2月に東京のGⅢ、クイーンカップで3連勝を飾った。金子真人HDはソダシとアカイトリノムスメを、国枝厩舎はサトノレイナスとアカイトリノムスメでタイトルを狙うという入り組んだ図式になっている。

一方、伏兵候補と目されるファインルージュ(父キズナ)、ソングライン(同)、アールドヴィーヴル(父キングカメハメハ)もNF生産。NF以外の勢力では、社台ファームの輸入した英国産馬エリザベスタワーが一角崩しを狙う。

(野元賢一)

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