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パンチ、キックにヒント 女子ゴルファー・稲見萌寧㊤

体をねじりながら使うパンチ、キックにスイング動作につながるヒントがあると感じている

昨年12月の全米女子オープンから帰国後、自主待機をするうちに2020年は終了、年が明けると稲見萌寧がさっそく動き出した。「キックボクシングかあ、いいな」。千葉市内の生活拠点から10分圏内で見つけたジムに通い、ゴルフの練習としては聞き慣れないボクシングトレを始めた。

住宅街の一角にあるジム。換気を気遣って開け放たれた窓からミットをたたく音が響く。最大70㌔のバーベルスクワットで下半身をいじめ抜く練習では、「地獄!」という稲見の苦悶(くもん)の声が漏れ聞こえてくることも。これまで世話になっているトレーナーは別にいる。「そこでは普段から体のケアと姿勢づくりに集中。ここでは体をがっつりでかくする」。21年が始まってまだ2カ月ほど、栄養にも十分配慮の上で5㌔増量した。

元プロキックボクサーのトレーナー、平野洋平は「そんな有名なプロゴルファーとは知らなかった。パンチ、キックも最初とは見違えるほど体重がのってきて、こちらの手が痛いほど」。ゴルフへの造詣はさほど深くないが、「パンチもスイングも同じねじれの動き。体幹がぶれず、右足のける力を拳にのせるのがパンチ。ゴルフに生かせるんじゃないか」と、21歳の熱意に共感している。

稲見が合格ラインぎりぎりの20位で突破したプロテストは18年。2度目の受験で合格した1歳上の渋野日向子とは「プロ入り同期」となる。翌年の出場優先順を競う予選会(QT)では3次で敗退するも、限られた参戦機会を生かしてツアー出場権をつかみとり、20歳の誕生日前日だったセンチュリー21最終日にみごと初優勝を飾った。

持ち球をドローからフェードに変える必死の生き残り策が奏功し、19年のパーオン率78.2079%は女子ツアーの歴代最高値を記録した。コロナ禍で開催試合が減った昨年もスタンレー女子で優勝。本格的なプロデビューイヤーから2年続けて1勝ずつを重ねてきた。

順風満帆にも映る稲見のプロゴルファー人生だが、2年目の昨年は反省点が浮かび上がる。「1年目は初めてのことばかりで楽しくて、やること全部が新鮮で。2年目は攻める怖さも知ってしまい、ショットが不安定に」。3年目の今年は原点回帰。予選会というプロ生活のスタート地点での大失敗により常に上位をめざすしかなかった1年目のメンタルを再び胸に刻んで、あえて激しく新しい練習を取り入れた。

コロナ禍で合宿もままならず、3月のツアー開幕戦、ダイキンオーキッドまでは千葉でトレーニング。小5から通い続けている千葉市内の練習場「北谷津ゴルフガーデン」で打ち込み、ショートコースで技を磨く生活はここ10年、稲見にとっての日常そのもの。「いっつもいます、ここに。我が家のようなものなんで」=敬称略

(串田孝義)

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