サッカー日本代表、一撃に沈む コスタリカに敗れる

悪夢のようなシュートが、緩やかな軌道で日本のゴールに吸い込まれていった。初戦の金星の輝きも、勝てるという甘い観測も吹き飛ばしていくかのように。
【関連記事】
前半は「死んだふり」の作戦だったのだろうか。そう思うくらい、遅攻に遅攻で応じるだらだらとした流れのなかで時間が過ぎた。もどかしいほどに日本が攻めあぐねたのは、コスタリカの堅守のゆえというわけでもない。相手の最終ラインの背後に隙はあり、アクションを2つ、3つと連ねれば打開できそうなものだった。が、前線が動いてもなかなかパスは出てこない。

トップ下の鎌田のボールタッチはことごとくずれ、ボールの収まらない上田に存在感は乏しく、堂安の左足は火を噴かない。やられそうな気配がないのはお互いさまで、前半は双方とも枠内シュート0本。
森保ジャパンの崩す力が試されていた。後半冒頭に選手交代でギアを上げ、たたみ掛け、幾度かのシュートチャンスを迎えた。それでも5バックでピッチの端から端まで埋めるコスタリカの守りを切り崩すには至らない。試合を支配すれども攻撃は立ち往生、雲行きは怪しくなり、そして……。
81分、奪われた後の奪い返しが甘くなった。日本の左サイドで生じたほつれが、吉田の中途半端なクリア、相手へのパスになってしまう守田のスライディングへと派生した。おあつらえ向きに自分たちのもとへ転がったワンチャンスを、コスタリカはゴール隅への決勝点へと変えた。

「後半、よりパワーを持たせ、ある程度狙い通り進められたとは思う。ボールを握り、試合をコントロールした。仕留めることができれば良かったが、残念ながら相手がチャンスをものにした」と森保監督は語る。ダイレクトパスをまぶした攻撃のスピードアップ、勇敢なアタック、プレー強度、冷静で正確なフィニッシュ。専守を決め込む相手を破るために必要なものが、どれも必要な水準には達していなかった。
W杯ではそうとんとん拍子に事は進まないという苦いレッスン。ドイツ戦のように「変わり身」をするなら、今しかない。でなければ、こんな情けない試合で8強への挑戦が閉ざされてしまう。
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
この投稿は現在非表示に設定されています
(更新)

2022サッカーワールドカップ (W杯) カタール大会に出場する日本代表のニュースやコラム。大会日程は11月20日に開幕、決勝は12月18日。選手たちの活躍の様子や試合の結果、分析などをお届けします。