競泳女子・山田が銀 100背泳ぎ、パラ日本勢メダル1号

東京パラリンピックは25日、各競技が始まり、競泳の女子100メートル背泳ぎ(運動機能障害S2)で14歳の山田美幸(WS新潟)が銀メダルを獲得した。今大会で日本勢メダル第1号となった。男子50メートル平泳ぎ(運動機能障害SB3)では鈴木孝幸(ゴールドウイン)が銅メダルを獲得した。
キック力向上へ3キロの重りをつけ練習
日本選手団最年少で14歳の山田が銀メダルを獲得、全競技を通じて日本に最初のメダルをもたらした。予選では「水に入った瞬間、ガクガク震えた。緊張を体で感じたのは初めてでびっくりした」と経験したことのない重圧に襲われたという。それでも、初出場の大舞台で予選・決勝と2本のレースを堂々と泳ぎ切り、メダルを手にしてとびきりの笑顔を見せた。
140センチの小さな体は両腕がなく、右足は少し短い。スタートは足が壁につくようにコーチなどに補助してもらい、股関節を駆使して力強いキックで進む。片足で蹴っていたスタートを7月から両足で蹴るスタイルに変えて挑み、「たくさん練習して慣れてきた。前より速くなったと思う」と手応えを得ていた。

小児ぜんそくを治すために小学1年生から水泳を始めた。当時から指導する野田文江コーチ(79)は「センスがよかった」と語る。本格的に東京パラリンピックを目指し始めた2019年からは、水泳の選手歴が長い岡野高志コーチ(45)の下、3キロの重りをつけて泳ぐなどして武器であるキック力を高めてきた。
20年2月に運動機能障害S3から、より障害が重いS2にクラス変更されたことが転機になった。同年11月に行われた秋季記録会では、50メートルと100メートルの背泳ぎで19年世界選手権の銀メダル相当のタイムをマーク。一気に世界トップレベルへ躍り出た。
16年のリオデジャネイロ大会をテレビで観戦した時、「選手みんなが笑っていた。一生懸命泳いで、競い合うのはこんなに楽しいものなんだと感じて、自分もそういうふうになりたいと思った」。日本の最年少メダリストとなった彼女の笑顔も、きっと誰かに届いているだろう。
(田原悠太郎)