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アナログの知恵と科学の力を結集 コロナ2年目へ

コロナ禍1年 スポーツの今⑤

大相撲は取組終了後に抽選会を開き、退場時の混雑を防ぐ工夫を続ける(写真は初場所千秋楽で行われた協会あいさつ)=共同

「今年こそは、との思いがある」。昨年は甲子園大会が史上初の春夏連続中止となった日本高野連の小倉好正事務局長は、言葉に力を込める。医療の専門家も交えたワーキンググループを立ち上げて問題点を潰し「昨年のこの時期に比べれば新型コロナウイルスへの知見もある」と2年ぶりの選抜大会開催を目指す。

感染状況にもよるが、現時点で観客を入れての開催を想定。ただし、チケットはすべて前売り、全席指定とした。当日券売り場や自由席を確保する開場待ちで列ができるのを防ぐためだ。吹奏楽での応援の可否などを検討課題としつつ「無観客を前提にすると、有観客が可能になっても対応が難しい。現状で何ができるか考える」。

新型コロナの脅威や予防策も暗中模索だった昨春、スポーツ界は「大会中止」に雪崩を打った。しかし拡大から間もなく1年。第3波襲来で再び中止・延期が相次ぐなかでも、関係者は得られた教訓を生かし「今年こそ」と知恵を絞る。

ゴールボール日本代表は2月6、7日に感染拡大以降初の実戦となる強化大会「ジャパンパラ」を開く。事前合宿先からの移動はバスをチャーターし、ホテルの食事は個別配膳。試合会場では選手と取材陣らの動線管理を徹底するなど、外部との接触を避ける海外の「バブル」方式に倣った。「人と金のかかる完全なバブルまでは難しいが前向きに進めたい」と主催の日本障がい者スポーツ協会の担当者は話す。

「抽選会を始めます。席を立たないでください」。約5000人を上限に観客を入れる大相撲は打ち出し後、館内にこんなアナウンスが流れる。親方がくじを引き、力士の手形色紙や土産物を贈る抽選会を正面、向正面、東側、西側と時間差で行うことで客の足を止め、退場時の混雑を防ぐ工夫だ。昨年11月場所から実施した芝田山広報部長(元横綱大乃国)も「うまくお客さんが流れた」と手応えを口にした。

感染の兆候を把握し、リスクを事前に摘み取る備えも広がり始めた。2020年度の全国高校サッカー選手権では大会前後の2週間、選手や関係者が入力した体調や行動記録を一元管理できるユーフォリア社(東京)のシステム「ワンタップスポーツ」を導入。感染者を出さずに大会を乗り切った。国際スキー連盟はウェブサイトで選手らがPCR検査の結果や滞在地、健康記録を入力する仕組みを構築、国をまたいで転戦しても主催者側が照会しやすいようにした。

とどろきアリーナで行われた消毒ロボットの実証実験(2020年12月)=同アリーナ提供

箱型のロボットに備え付けられたランプが青白く光り、館内を照らす。昨年12月に川崎市のとどろきアリーナで行われた、米ゼネックス社の消毒ロボット「ライトストライク」を使った実証実験の一場面だ。

人の手でふいた場合は消毒の4割が不完全という論文もあるなか、このロボットは「キセノン紫外線」という特殊な光線により、半径2㍍の新型コロナウイルスを2分間で99.99%除去できるとの研究結果がある。米プロフットボールNFLや米プロバスケットボールNBAの一部チームで活用が始まり、日本での販売権を持つテルモを通じて医療機関で導入が進む。

本体の実勢価格は約1500万円からで、ほかに保守・消耗品の料金がかかる。川崎市はVリーグのNECレッドロケッツの協力を得て公式球やロッカールーム、練習コートなどで照射し、2人で拭いた時と比べ作業時間を最大70~80%減らせる結果を得た。パラスポーツ大会でも実験の構想が進み「先端テクノロジーで大会開催の支援ができれば」と実験の担当者。アナログの知恵と科学の力を総動員し、「コロナ2年目」に立ち向かうすべが積み上がっている。

(西堀卓司)

=おわり

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