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選手を外界と遮断「バブル」方式、スポーツ大会に定着

コロナ禍1年 スポーツの今④

「選手の声を世界に届けられた。本当に良い大会になった」。昨年11月、新型コロナウイルス感染拡大後は国内で初となる国際大会を成功させた国際体操連盟の渡辺守成会長は満足げに振り返った。

コロナ拡大後、国内では初の体操国際大会の開会式に臨む各国選手たち(2020年11月)=代表撮影

東京・国立代々木競技場第一体育館を会場とした1日限りの大会には、日本のほか、ロシア、中国、米国の計約80人の選手・関係者が参加。出発2週間前から自国での行動制限やPCR検査が義務付けられ、来日中は外部との接触を遮断する「バブル」と呼ばれる空間に入った。チームごとにホテルのフロアを貸し切り、警備員を配置。不慣れな環境にも「あまり苦じゃなかった。試合に出られるなら何でもする気持ちだった」と女子の寺本明日香(ミキハウス)が話したように、選手たちの理解も大きいようだった。

開催地を大きな泡で包むように大会を運営し、選手や関係者の外部との接触を遮断する「バブル」方式。昨夏のテニスの全米オープン、競泳の国際リーグ(10~11月、ハンガリー)など多くの競技が採用し、今やスポーツイベントの「ニューノーマル」とも言えるようになった。入国前後や期間中の定期的なPCR検査に加え、厳しい外出制限も設ける。

米プロバスケットボール(NBA)は昨年7月、フロリダ州のディズニーワールドに巨額を投じて広大なバブルをつくり、選手・関係者にはソーシャルディスタンスを確保する全地球測位システム(GPS)を持たせるなど徹底した対策をとった。実際、10月のシーズン終了まで新規感染者はゼロ。現地で取材したスポーツライターの杉浦大介さんは「安全にシーズンをやり抜くためには必要なシステムになりつつある」と話す。

1万人以上の選手が集う東京五輪・パラリンピックの組織委員会もバブルには注目している。昨年9月には全米オープンに出場した車いすテニスの国枝慎吾(ユニクロ)にヒアリングをし、室伏広治・現スポーツ庁長官は「対策をしっかりすれば、選手も安心して普段通り競技ができると参考になった」と語った。

ただ、バブルで完全にウイルスを閉め出すのが難しいのも事実だ。バンコクで3大会を連続して集中開催中のバドミントンのワールドツアーでは、入国後3回目のPCR検査で陽性となる選手や関係者が続出した。17日には、2月開幕のテニス全豪オープンのためチャーター機で入国した選手・関係者の感染が判明。錦織圭(日清食品)ら同乗した選手72人が2週間の隔離措置対象となった。

閉鎖環境にずっと拘束されるアスリートの精神的負担も課題で、NBAは選手に忍耐を強いて長いシーズンを戦うのは困難だとして、先月開幕の新シーズンはバブル開催を回避。体操の国際大会でも複数の選手から「体の動きを維持するのに散歩やジョギングさえできないのは困った」との声が上がった。

東京五輪・パラでは選手らの行動範囲を競技会場と練習会場、選手村に制限し、移動にも専用車両を用意する予定で、国際医療福祉大の和田耕治教授(公衆衛生学)は「選手村での各国ごとのフロア分けや、各競技の感染リスクを踏まえた陽性者発生時の対応など綿密なルール設定が必要だ」と指摘する。イベントが大規模で長期にわたるほど、バブル内の感染対策とストレスを減らす環境づくりが重要性を増す。双方の両立が今後の大きなテーマだ。

(堀部遥)

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