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NBAネッツに超豪華トリオ 支えるオーナーの資金力

スポーツライター 杉浦大介

23日のヒート戦、デュラント(7番)とハイタッチするハーデン(右)。ネッツが誇る豪華な2ショットだ=USA TODAY Sports

米プロバスケットボールNBAの2020~21年シーズン序盤戦で最大の話題といえば、ブルックリン・ネッツが新たなビッグ3を誕生させたことだ。

ケビン・デュラント、カイリー・アービングという2人のスーパースターを中心とするチームづくりを始めていたネッツが、1月中旬、4チームが関わる大型トレードでヒューストン・ロケッツからジェームズ・ハーデンを獲得。これで3人合わせてオールスター出場24度という超豪華トリオが完成した。

ハーデンが加わり、3人で1億㌦超

近年のNBAは複数のスター選手を集める〝パワーハウス〟づくりが主流となっている。その中でも選手生活のピークかそれに近い力を保った選手が集まったネッツのビッグ3は名実ともにリーグ史上最高クラスといえるだろう。

ハーデンの今季年俸は約4125万ドル、デュラントは同4010万ドル、アービングは同3346万ドル。この3人だけで合計年俸は実に約1億1480万ドル(約118億円)に達し、ゴールデンステイト・ウォリアーズのステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、アンドリュー・ウィギンスの合計1億790万ドルを上回るNBA史上最高給トリオがブルックリンに生まれたことになる。米メディアの報道によると、サラリーキャップ超過が確実なネッツは約3000万ドルのぜいたく税も払わなければいけないという。

「ツァイ・オーナーがチーム作りに非常に協力的なのは素晴らしいことだ。勝利に向けた献身はこれまでのチームになかったことだ」

ショーン・マークスゼネラルマネジャー(GM)が述べた通り、これほどの投資が可能になっている背景にはオーナーの強力なサポートがあるのは間違いない。

影の薄いチームがツァイ・オーナー買収で転機

2019年8月、それまで2番手オーナーだった中国の電子商取引会社アリババグループの共同創業者、蔡崇信(ジョセフ・ツァイ)がネッツの単独オーナーに就任した。買収額は当時、米プロスポーツチーム史上最高の23億5000万ドル(約2500億円)と伝えられた。リーグの全オーナーの中でもトップクラスの総資産131億ドル(2020年12月のフォーブス調べ)を誇るツァイは、優勝のためならぜいたく税の支払いも辞さないと述べており、おかげで今回のハーデン獲得も可能になったのだ。

2012年にニュージャージーからブルックリンに本拠を移転して以降、ネッツはニューヨークでも影が薄いフランチャイズであり続けた。過去にも大型補強に挑んだことはあったが、プレーオフで第2ラウンド以降まで勝ち進んだ経験はゼロ。伝統チームのニューヨーク・ニックスに人気面で大差をつけられてきた。

しかし、今回のリーグ最高給トリオのインパクトは大きく、少なくとも現時点でネッツはリーグ最大級の注目チームになった感がある。

20日のキャバリアーズ戦でセクストンをマークするハーデン(左)。試合は延長の末、135-147で敗れた=USA TODAY Sports

デュラント、アービング、ハーデンが初めてそろった1月20日のクリーブランド・キャバリアーズ戦はケーブル局のYESネットワークで放送され、同局が中継したネッツ戦では過去6年で最高の平均15万9000件(瞬間最高は24万2000件)の視聴件数を記録した。シーズン全体でも平均視聴者件数は8万5000件と、昨季の同4万5000件から大きく増えている。

今シーズンはほとんどのゲームが無観客で行われているのが残念だが、それでもネッツの話題性で注目度が高まっているのは明らか。ネッツが勝ち進み、初優勝を飾るようなことにでもなれば、ブランド価値は一気に跳ね上がるはずだ。

上位進出にはさらなる補強が不可欠

もっとも、爆発的な得点力を誇る3人をそろえたからといって、コート上の成功が約束されるわけではない。ハーデン獲得の見返りとして複数の主力選手を放出し、ネッツの売り物の一つだった層の厚さは消失した。もともと不安視されてきたサイズ、ディフェンスの弱点もより明白となり、20日、22日のキャバリアーズ戦は2試合で合計272失点を許して連敗を喫した。

「僕たち3人は十分なスキルを備えているから、あとはコミュニケーション次第。コミュニケーションが円滑になり、一丸となれば、僕たちはほとんどのゲームに勝つチャンスがあるはずなんだ」

マジック戦でシュートを狙うハーデン(中央)。チームの上位進出は3人のコミュニケーション次第と語る=AP

ハーデンがそう語った通り、新体制のネッツが上位進出を果たすにはビッグ3の円滑なチームプレーが不可欠だろう。と同時にさらなる補強を施し、ロースターの層を厚くする必要がある。それらをすべて成し得たとき、生まれ変わったネッツは真の優勝候補になるはずだ。

3大スターはそれぞれあと2年の契約を残しているが、22~23年シーズンはプレーヤーズオプション、22年夏の時点で契約最終年を破棄してFAになることができる。つまり、このスタートリオを軸に頂点が狙えるのは今季、来季の2シーズンだけかもしれないということだ。それまでに、意欲的なチームづくりを続けるネッツは悲願の初優勝を果たせるのか。

今後も継続的な補強が可能な資本を備えていることを考えれば、3大スターを集めたここまでの方向性は〝ギャンブル〟とまでは言い切れない。それでも、少なからずの犠牲を払ってのチームづくりの成否が、ネッツのチーム史の中で重要な意味を持つことに変わりはない。大都市に本拠地を置きながら存在感に乏しかったチームが、フランチャイズ史上の分岐点と言える時間を迎えているのは間違いないだろう。

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