宇野昌磨、100点超え スピード抑え対応力光る

当日朝の練習で宇野は違和感を覚えたという。「(いつもの)練習とは違う感触だった」。普段通りに演技をすると大きなミスを犯すのでは、という予感めいたものがあった。
不安要素を少しでも減らそうと急きょ衣装を替えた。さらに「一番リラックスして(ジャンプを)跳べる方法を選んだ」といい、スピードを意識的に控えめに。慎重を期して最初の4回転フリップを踏み切り、クリーンに着氷してみせた。
次の4回転―3回転の連続トーループジャンプは2本目が2回転になったが、これも想定内。「無理に3回転にいくつもりはない。(1本目を)降りてから(次に)跳ぶジャンプを考える」。とっさの判断で自ら選んだ2回転に不満はなかった。

国内外であまたの経験を積んできた宇野ならではの対応力が発揮されたSP。「今できる最大限ができた」とうなずいた。調整を施したプログラムながら唯一の100点超えという結果は、出場30選手のなかで頭一つ抜けた実力があることの証左だろう。
フリーへの意気込みを問われると「そのときのコンディションに合わせた演技ができればいい」。自身3年ぶりとなる全日本のタイトルがぐっと近づいても、高ぶるようなそぶりはまるでなかった。
(木村慧)