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マラソン川内、唯一無二の「サブ20」百回 復活に手応え

マラソンの川内優輝(あいおいニッセイ同和損保)が昨年12月20日の防府読売マラソンで2時間10分26秒の2位に入り、通算100回目のサブ20(2時間20分切り)を達成した。学習院大時代の2009年2月に初のフルマラソンを2時間19分台で走ってから足かけ13年。プロランナーとして唯一無二の道を進んでいる。

過去に4度制している防府は思い入れが強く、19年は通算100回目のフルマラソン完走の節目を迎えていた。不思議な縁を感じて臨んだ今大会は優勝こそ逃したが、久々に終盤まで競り合う展開でレースを盛り上げた。

防府読売マラソンで力走する川内優輝(中央)=共同

100回以上の完走も驚かされるが、それだけなら市民ランナーにもいる。高いレベルを維持していることに本人は誇りを持ってきた。新型コロナウイルスの影響で大会の中止や延期が相次ぎ、21年に持ち越しかと考えていたが20年のうちにクリア。「世界中でも私だけ。感慨深いですし、長期にわたって強い力を保てた」と胸を張る。

公務員ランナー時代には周囲に「大会に出過ぎ」と言われることもあったという。それでも「実業団の選手はレースのようなことをチームの練習でしている。同じようなことをやらないと強くなれない」と考え、期間を空けずに大会に出る独自のスタイルを貫いた。その積み重ねがトップ選手へと押し上げ、百戦錬磨のランナーの骨格をつくった。

旅行好きの一面も今回の記録と無縁ではなく、規模の大小を問わず全国の大会に参加。世界中のあまたのレースを経験してきた。各地を巡る楽しさ、その土地への関心、ランナーとの交流が走る活力になっていたことは間違いない。

ベストレースにはやはり18年に優勝したボストンマラソンを挙げる。日本人31年ぶりの快挙は人生の転機にもなった。19年4月にプロ転向してからはランニングを通じた地域貢献活動にも力を入れてきた。

一方、競技者としては壁に当たっていた。19年の世界選手権では29位に沈み、20年3月のびわ湖毎日も結果が伴わない。高速化する男子マラソン界においてスピード不足を痛感して強化を図ったが、12月6日の福岡国際でも19位と振るわなかった。いずれも前半に集団から離脱する苦しい走り。苦しい表情を浮かべながらも粘って順位を上げていく本来の姿を取り戻せず、「あまりにも情けなかった。もう限界なんじゃないかという思いもあった」と吐露する。

だが、防府に向けては岡本直己(中国電力)の助言を参考に福岡国際後の調整法を変え、2位という結果に手応えを得た。「前を向ける悔しさがある」と再び闘争心に火が付いたようだ。

サブ20は78回を数えた18年にギネス世界記録の認定を受けているが、所属先によると、大台に到達して再び認定の申請をしたという。生涯現役を誓う中で回数は今後さらに伸びていくだろう。まだ経験のない2時間7分台への意欲も強く、「自己ベスト(2時間8分14秒)の更新を狙いたい」と語る。1月31日に開催予定の大阪国際女子マラソンのペースメーカーを務め、女子の日本記録更新を後押しするつもり。節目のレースで浮上のきっかけをつかんだ33歳は、気持ち新たに次なる目標へと向かう。

(渡辺岳史)

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