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イスラム圏初サッカーW杯まで1年 相互理解の一歩に

サッカージャーナリスト 大住良之

think!多様な観点からニュースを考える

日本代表は来年2022年11月にこの舞台に立っているのか、まだまだ見えてこない。「世界」に近づく感触を得た18年ワールドカップ(W杯)ロシア大会からまたたく間に時は流れ、次のカタール大会まで1年を切った。

32チームによるW杯はカタールが最後

11月21日、カタールの首都ドーハでは、国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティノ会長や元イングランド代表デビッド・ベッカム氏らを迎え、「大会1年前」のカウントダウンセレモニーが開催された。

22年W杯は11月21日の現地時間午後1時(日本時間午後7時)にアル・ホール市のアル・ベイト・スタジアムで開幕(地元カタールが登場)。12月18日にドーハ中心部から車で30分ほどに位置するルサイル・スタジアムで決勝を迎える。1998年フランス大会で出場チームが24チームから32チームに増えて7大会目となるが、この形式はこれが最後となる。米国、カナダ、メキシコ共催の26年大会は出場チームが大幅拡大、48チームによる全く新しい形で行われる。

通常W杯は6月から7月にかけて開催されてきた。しかし日中に40度を軽く超すアラビア半島の気候を考慮し、11~12月の日程とされた。サッカー界に最も強い力を持つ欧州各地のリーグを中断させる影響を最小限にとどめるため、大会期間は前回の32日間から28日間へと4日間も短縮された。グループステージの日程が短くなり、11月21日の開幕日から12月2日まで12日間、毎日4試合ずつが消化される。全ての試合が「中3日」という厳しい日程だ。

コンテナを活用した仮設スタジアムも初登場

試合会場となるのは8スタジアム。人口約238万人、カタールの全人口の約85%が集中する首都ドーハに4会場、ドーハ市の西に隣接するラーヤン地区に2会場、南に隣接するアル・ワクラ市に1会場。これらの7スタジアムはすべてドーハの中心部から15キロの半円形内にあり、近年にない「狭域開催」の大会となる。これらのスタジアムは、日本の技術で2019年に開通した「ドーハ・メトロ」で結ばれている。

ドーハといえば、2006年のアジア大会や2011年のサッカー・アジアカップの舞台となったハリーファ国際スタジアムが有名だが、このスタジアムも3位決定戦を含めた8試合に使用される。しかし決勝の会場は新都心機能をもたせて市の北部に開発が進んでいる地区に新設されるルサイル・スタジアム。8万人収容の巨大スタジアムだ。

ドーハ市内につくられたラス・アブ・アブード・スタジアム(現在は「スタジアム974」と呼ばれている)はW杯史上初の仮設スタジアムだ。港を見渡す地域に新設され、4万人を収容できるが、大会終了後には解体される。建設費を抑えるために貨物用のコンテナを用いるなど、斬新な建築計画が世界に注目されている。

さて、8会場のうち「15キロ圏内」からただひとつ外れるのがドーハの中心部から北へ50キロ、アル・ホール市(人口約3万2000人)に新設されたアル・ベイト・スタジアムである。収容は、決勝会場のルサイルに次ぐ6万人で、開幕戦を含めてグループステージで6試合、決勝トーナメントも1回戦、準々決勝、準決勝まで各1試合の計9試合の舞台となる。ちなみに、今大会の8会場では、平等にグループステージが6試合ずつ開催される。

11月から12月にかけてのカタールの気候は暑さもやわらぎ、快適なはずだが、仮に異常気象で気温が高くても懸念はない。全スタジアムに「冷房システム」が備えられ、ピッチレベルは22度程度に保たれる。競技に支障はない。

11月末からはテストイベントも

11月30日にはテストイベントに位置づけられた「FIFAアラブカップ」が、来年1月に完成予定の「ルサイル」を除くW杯6会場で開催される。前大会までは「FIFAコンフェデレーションズカップ」がワールドカップの1年前に開催されていたが、この大会は廃止され、今回は「アラブカップ」がその代替となる。出場はアラビア半島から北アフリカのアラブ圏の国で、FIFAランキング上位の9チームと予選を勝ち抜いた7チームの計16チーム。アジア(AFC)から10チーム、アフリカ(CAF)から6チームが出場する。

開催決定をめぐってFIFAが大揺れになるなど、物議をかもしたW杯カタール大会。私は、「イスラム圏でのW杯」には大きな意味があると考えている。世界の大衆が直接交流する場がイスラム世界に設けられることで、お互いの文化に対する理解が深まるはずだ。

初のアラブ圏、イスラム圏でのワールドカップ。コロナ禍が完全に終息し、それを全人類挙げて祝う機会になってほしいと願わずにはいられない。

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