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「価値高める年に」 美しきドリブラー三笘薫が期す飛躍

出番です! Jリーグ開幕㊤

 新シーズンの始まりを告げた20日のゼロックス杯で、三笘はG大阪相手に2ゴールを決めた=共同

26日に開幕する明治安田生命J1リーグ。東京五輪イヤーの今季、活躍が見込まれる五輪世代の2選手を紹介する。まずは監督と選手が投票した昨季のベストイレブンで、ルーキーながらMVPのオルンガ(柏=当時)をしのいで最多票を集めた、あの選手から――。

                 ◇

三笘薫(23、川崎)がいると「チームにいいこと」が3つある。

一つ。ドリブルで相手を引きつけてくれるので味方がフリーになれる。

一つ。自分でゴールも決められる。

一つ。フィギュアスケーターのように美しい身ごなしで、ひいきのお客さんを増やしてくれる。

ポジションは左ウイング。川崎のアカデミーに育って筑波大経由で昨季プロになり、育て親のクラブに早速、13得点12アシストの恵みをもたらした。まぎれもなく、川崎のリーグ優勝を支える太い柱の一本だった。

それで本人が満足したわけではない。近ごろは欧州のクラブでも日本代表でも、三笘より年少の選手たちが立派に自分自身を表現している。その波に乗り遅れることへの焦りがある。

「自分の価値が去年は伸びたと思う。それをもっともっと伸ばしたい。(五輪)代表や国内リーグだけでなく(リーグ王者として臨む)アジア・チャンピオンズリーグもあるし、いろんなところでいろんな人に僕のプレーを見てもらい、価値があると思ってもらえる年にしたい」

少年の日に描いた、日本代表になって世界で活躍する未来図に、いまの出世スピードでは追いつけない。「もっと、もっと」の思いにせかされる。

 元日の天皇杯決勝で、やはりG大阪から決勝点。昨季を通じて「最大の発見」とたたえられた=共同

右足のアウトサイドでボールを運ぶ動作の滑らかさ。ドリブルのさなかでもヘッドアップできるから目に映る景色は開けたものになる。場面に応じて縦の突破と中への切り返しを選択できる。パスの出し手にも受け手にもなれる賢さも。

突破とチャンスメークの仕事は大学時代から評判だった。周囲が驚いたのは13得点のほうで「自分はそんな選手じゃない」と本人も目を丸くする。ふしぎに思って映像を見かえすと「味方のアシストに助けられたし、偶発的なこぼれ球に詰めるような、二度とないケースも多かった」。

川崎という強者の一員になれたから、人より多くの分け前にあずかっただけ。そういう厳しめの自己評価に聞こえるが、地中に眠る埋蔵金の量がよそのチームより多くても、本人がゴール前へ足まめに通ってスコップを振るわなければ、ゴールという所得が自分のものになることもない。

ベンチスタートから先発へと席次を上げながら、このオフ・ザ・ボールのコツを昨季の三笘はのみこんだ。半面「自分から崩してシュートに持っていく形が少なかった」と課題を語り、ミドルシュートによる得点を今季の目標の一つに挙げる。

個人の力をチーム戦術に落とし込むことにかけては人後に落ちない川崎のこと。三笘ができることを一つ増やせば「チームにいいこと」も掛け算式に増えていく。

(阿刀田寛)

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