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美浦トレセン、新スタンド11月完成 見学はしばらく先に

美浦トレセンのスタンド前を歩く馬たち

本格的な秋競馬のシーズンを迎えて、これからは毎週のように大きなレースが続く。我々、競馬中継を担当するアナウンサーにとっても、一段と取材活動に力が入る季節となる。

週末の競馬中継を担当するアナウンサーは、開催日に放送の仕事をするのはもちろん、週半ばの水曜日(あるいは木曜日)に、有力馬の追い切り調教を取材するため、毎週、交代で東西のトレーニング・センターでの取材に赴いている。筆者も30年近く、東京勤務時は美浦トレーニング・センターで、大阪勤務時は栗東トレーニング・センターで取材活動を続けてきた。

美浦トレセンは1978年の開場以来、ずっと使用されてきた南馬場の調教スタンド(以下旧スタンド)の老朽化が著しいため、旧スタンド東側(入り口に向かって左側の場所)で新スタンドの建設工事が進んでいる。鉄骨造(S造)4階建て、延べ床面積は2425.7平方メートル。4年前に栗東トレセンに建設されたスタンドとほぼ同じ規模になる。加えて、栗東と同様、エレベーターも新たに設置される。

スタンド1階は旧スタンドと同様、騎手の控室や食堂が設置され、専用のインタビュールームも造られる。追い切り後の調教師や騎手の共同記者会見も、このインタビュールームで行われる。2階は調教師席、3階にスポーツ紙や全国紙・通信社などの取材席と、新設の調教見学室が置かれ、4階に一部日刊紙と競馬専門紙の記者席が設置される。

11月の完工を前に防音シートも外された美浦トレセンの新スタンド

筆者がこの夏、最後に美浦を訪れたのは7月初旬。それから既に2カ月が過ぎ、建設中の新スタンドを覆っていた防音シートが取り外され、真新しいスタンドも完成間近となった。予定では新スタンドの供用開始が2カ月後の11月。まさに秋のGⅠシリーズに合わせるかのようなタイミングになる。

時期を同じくして、旧スタンドの取り壊し作業も始まる。この解体工事を巡って、難問が一つ持ち上がっている。既に今年初めから、報道関係者、特に映像やスチル写真を担当する人々の間で不安の声が上がっていたのが、中山開催期間に撮影が難しくなるということだった。中山競馬場は右回りで、開催中は美浦の調教コースも右回りで使用される。新スタンドの記者席でカメラを構えた場合、解体工事中の旧スタンドが邪魔になって、最終コーナーを回ってくる有力馬の最も必要な映像や写真の撮影が難しくなるのだ。

美浦トレーニング・センター建築設備課の青石成顕課長によれば「視線障害対策として、今まで報道関係者が利用していた駐車場の場所に、映像やスチル写真を撮影するための仮設のプレハブ小屋を建設することになりました」。映像や写真撮影用の臨時のプレハブ小屋で、何とか問題はクリアできそうである。

美浦の新旧スタンド。新スタンド㊨でカメラを構えると、右回りの調教時に左側の旧スタンドが障害物となる

40年以上にわたって、南馬場で追い切る関東馬たちの調教を見守り続けてきたスタンドの解体作業は、秋のGⅠシリーズ真っ最中の11月から始まる。

「解体作業の前に、旧スタンドの周囲を取り囲む高さ8メートルの防音壁の組み立て作業を行います。その後、スタンドの内装の解体作業を行い、本格的な建物の取り壊し作業は来年の2月ごろからの予定です」

青石さんの説明では「競馬場の解体作業だと、一日中作業に専念することができますが、トレセンの解体の場合、調教時間の合間を縫っての作業になります。当然、作業時間にも制約が生じます。朝の調教時間の終了を待って、おそらく正午を回ってからの作業開始になるでしょう」という。さらに、午後も入厩検疫馬の移動などで作業ができない時間帯もあり、しかもこれからは日没も早くなる。我々の取材活動もしばらくの間、スタンドの解体作業を横目に見ながら続けていくことになりそうだ。

最後に「栗東トレセンのときには、竣工式を大々的に行いましたが、コロナ禍の今の状況では、美浦トレセンでは難しいかもしれません。ただ、美浦でもファン向けの調教見学室を造りました。コロナの状況が収束して、大勢のファンに新しいスタンドでの調教風景を楽しんでもらえる日が早くきてもらえるといいですね」と話した。コロナ禍以前は、GⅠ開催週に一般のファン向けの事前予約制のトレセン見学ツアーが行われていた。そんな日常が戻ってくる日が待ち遠しい。

(ラジオNIKKEIアナウンサー 木和田篤)

各アナウンサーが出演、ラジオNIKKEIの競馬番組はこちらでチェック! http://www.radionikkei.jp/keibaradio2/

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